不動産大家が考えるべきコミュニケーションの心構えと体験談
今回、Twitterで不動産に関する情報を発信する「あばれる大家」氏にご寄稿いただきました。
テーマは「不動産大家に必要なコミュニケーション」について。
不動産は不労所得ではありますが、その過程でコミュニケーションを取る場面が必ず出てきます。
- 不動産売買業者
- 金融機関担当者
- プロパンガス業者
- 管理会社
といった主要な相手先とやり取りするコツを、あばれる大家氏が解説。
円滑な不動産経営を実現したい方には注目の内容です。
おおや
あばれる大家氏
不動産大家
2018年から独立を目指し複数物件を取得している勤め人大家。
計画中の新築を含めると44室運営。
満室家賃年収2700万。
不動産賃貸業は人生の一部であり、自分を成長させてくれる存在。
他人の価値観に縛られず、自立し本当の自由を得たいという、 同じ志をもつ仲間と共に人生を楽しみたい思いで活動中。
夢はトレーニングジムを経営すること。
Twitter:@melonshoulder
地方でサラリーマンを続けながら大家業をしているあばれる大家と申します。
2019年の夏頃から主にTwitterで活動しております。
不動産大家としては2017年末に8戸のアパートを相続してから経済的・精神的な自由を目指して物件を拡大。
現在では6棟34戸の賃貸用不動産を経営しております。
サラリーマン年収が約500万、満室家賃年収が約2000万ありますが目標とする規模に到達するためにまだまだ拡大していく予定です。
本題ですが、私は一人っ子で元はといえば幼いころからそんなにコミュニケーションが得意な方ではありませんでした。
最近知り合った人にその事を伝えると「嘘でしょ」って言われましたが、ホントです。
しかし、不動産経営では多くの関係者・取引相手がいます。
これまで不動産大家を経験する中で
- 取引相手との共通の目標は何か
- 信頼できる大家と思ってもらえるためにはどうすれば良いか
といった試行錯誤の上、現在では相手にとって何が重要かを見出し長期的な友好関係が築けるようになったと自負しております。
今回1棟中古RCを購入し客付けするにあたっていくつかの交渉・コミュニケーションの場面がありました。
そのエピソードを踏まえながら私の試行錯誤と成長の過程をご紹介したいと思います。
不動産売買業者とのコミュニケーション
不動産を購入するには不動産業者から直接、もしくは仲介業者を介して購入する事になるかと思います。
今回は不動産を購入する側の立場なので
- こちらの基準で適正な価格で購入することができるか
が重要です。
一方、不動産業者からすれば
- 融資付けや購入判断において、本当に買える相手なのか
- 売主にとって適正な価格で売却する事ができるか
が重要であると考えます。
適正価格での購入を目指す
適正な購入金額については賃貸需要や周辺状況・立地条件・修繕状況などを総合的に判断し
- 相場より安く買えるか
- 耐用年数から考えて融資を受け返済が滞らない安定した経営が可能かどうか
- 満室にする事が可能かどうか
という、これらのいくつもある変数をまとめた各々の基準から判断します。
今回はコミュニケーションがテーマなので、基準の詳細については他の方の寄稿をご参照ください。
問題なく購入できることをアピールする
購入に際してはこれまでの実績・過去の融資状況等を示し、問題なく融資を受ける準備ができている事を理解してもらいましょう。
私の大家仲間には、名刺の裏に所有物件数等を記載して規模と実績をアピールしている方もおられます。
今回購入した物件は私より先に検討している方もいましたが、融資の事前承認を得る事が買付の条件という強気の仲介業者さんでした。
迅速に融資事前承認を得る事で、仲介業者さんの信頼を得ることができました。
仲介業者を味方にして指値を提案
不動産を売りたいというからには
- 何故売りたいのか
- いつまでに
- いくらで
といった理由や条件を詳細に把握できるかが鍵となります。
そのためには仲介業者さんを味方につけてしまうのが得策です。
いきなり何の根拠もなしに破格の指値を入れてくる様な相手とは誰も付き合いたくありません。
私が仲介業者だったら、そんな相手とはすぐに距離をおいて今後一切関わらないようにすると思います。
指値の入れ方を工夫して説得する
同じ指値の金額でも伝え方やタイミングがあり
- 相手がどのような感情を抱くか
- 自分が相手の立場だったらどう思うのか
を想像できるかによって結果は変わってきます。
今回私は売主さんを説得するにはどうすればいいのか、仲介業者さんと一緒になって考えました。
一千万程度の指値をしましたが、仲介業者さんが売主さん及び上司の方に説明しやすいよう
- 金融機関の収益性評価結果
- 大規模修繕費のエビデンス資料
も提出するなど指値の根拠を明確化。
結果として少し押し戻されましたが、こちらが適正と思える金額で契約する事ができました。
仲介業者さんに損をさせない対応指値をする事で仲介業者さんに損をさせない事も重要です。
売買金額によって仲介手数料が変動するのは皆さんご存知かと思います。
(例)
売買金額が一千万減額→約三十万程手数料が減少
(一般的な地方サラリーマンの手取りほど)
私はこの差額をコンサルティング料などでこっそり渡したり…。
これも相手が気持ちよく受け取れる方法であることが大事です。
金融機関担当者とのコミュニケーション
金融機関側が圧倒的に有利な交渉が前提
融資の交渉は大家にとって最もシビアになります。
なぜなら、投資をする側とされる側では圧倒的に投資をする側に主導権があるからです。
絶対に手に入れたい最高の物件があったとしても、金融機関が貸さないと言った時点でゲームオーバー。
この事を十分に理解した上で交渉に臨む必要があります。
コロコロと変わる投資家(金融機関)のルールを逐一情報収集しながら、柔軟に対応していかなければなりません。
とはいえ
- 金融機関の基準を理解すること
- 担当者が稟議を通しやすい資料を用意すること
- 事業者として人間性を理解していただくこと
はいつも同じなので、これらの基本を押さえつつ手のかからない信頼できる事業者として接していきましょう。
私の取引金融機関さんによると、支店の全融資残高の割合のうち一千万以下の運転資金の融資がほとんど。
今回の様に少ない手間で一億円近い不動産の融資を出すのは、担当者にとってはおいしいとの事です。
※担当者の方がいつも言っています。笑
融資担当者を味方につける為に対面で話す
適正な修繕を行わない・募集条件が厳しい等、上手に空室を埋めることができない事業者であれば融資した資金は貸倒れになってしまいます。
当然そうならないように、金融機関としても
- 物件価値や融資条件が基準以上か
- 返済原資である家賃収入の現実性はあるか
- この経営者は満室にして上手に運営できるか
- 信用できる人間か
といった情報から稟議書のストーリーを作り、様々なリスクに対して厳しめのシミュレーションでも返済が滞らないかどうかを判断します。
稟議書を作るのはあなたと対面する融資担当者・支店。
ですが、融資の決裁権を握るのは本店審査部・役員さんです。
融資担当者とあなたの共通の目標は「融資承認され返済を継続する事」。
担当者をしっかりと味方につけお互いの目標を達成するため、上記を踏まえ日頃からコミュニケーションをとることがとても重要だと断言します。
担当者と対面するタイミングどんな時に担当者さんと対面するかですが、私は「事ある毎に」です。
物件を持ち込む時は当然ながら
- 他行で物件を購入した時
- 決算書ができあがった時
- 融資条件の変化を耳にした時
等、最近では月に一度くらいは面談していますね。
もちろん、相手の都合の良さそうなときを狙い打ちです。
プロパンガス屋とのコミュニケーション
プロパンガス屋・大家・入居者の良好な関係を目指す
有名な大家さんや書籍でも皆さん口を揃えておっしゃっておりますが、プロパンガス屋さんは賃貸経営の味方です。
プロパンガス屋を味方に付ける事は
- プロパンガス屋
→満室経営できる大家ならガス料金の収入が多くなる - 大家
→低廉なガス料金・魅力的な設備を設置していただく事でお部屋の競争力を確保できる - 入居者さん
→コスパの良い生活ができる
という三方よしの関係を築くことができますのでどんどん利用させていただきましょう。
プロパンガス屋との信頼関係作りの例
今回は初めてお付き合いさせていただくプロパンガス屋さんでしたので、事務所にご挨拶に伺いました。
担当の方は20代の男性の方で色々と雑談していると、副業や大家業にとても興味があるとの事でした。
これはラポール(※)形成のチャンスとばかりに
- 所有物件
- 運営方針
- 満室化の方法
をお話しさせていただくとともに、大家業に関する私のノウハウ提供をお約束。
※心理学で「心が通じ合っている状態」を表す言葉。
結果として好条件でお取引していただける事となりました。
ここでもやはりプロパンガス屋さんとの信頼関係が大事。
満室経営できる、または満室経営するための方法を説明し説得できる三方よしの精神を持った相手と取引したいと考えるのが人情というものです。
管理会社とのコミュニケーション
互いの目標と利益を見極める
みなさんの中にはサラリーマンをしながら不動産の管理もする強者の方もおられると思いますが
- 入居者の募集・宣伝企画
- 入居・退去の対応
- 入居者・近隣からのクレーム対応
- 家賃入金確認・滞納請求
- 設備の維持管理
などの対応はアパート1棟・戸建て数戸なら自主管理も可能かもしれませんが、物件が増えてくるととても対応しきれません。
管理に時間を使うよりも、規模の拡大に専念したいからです。
管理会社さんと私との最優先事項は満室経営。
よって管理会社選定の際は
- お互いの目標が一致しているか
- 管理料で利益が出ているか
をしっかりと見極める必要があります。
これは一概に数値や条件で表されるようなものではありません。
第一印象から何度かお会いする中で「信頼に値する相手か」「取るに足らない相手か」をフィーリングで感じとるものだと思います。
周辺仲介業者との関係が良好で客付けが強い管理会社であれば、大家はそれ以外の活動に注力可能。
結果として物件価値の向上や管理状況の改善に繋がります。
初心者の方は、物件を購入した時の管理会社をなんとなく引き継いでしまう方もおられるかもしれません。
しかし「自分でチームを開拓する」という意志ももって行動していけば、おのずと良い方向に向かうのではないでしょうか。
管理会社を選ぶのは購入物件の賃貸状況調査の時
私が管理会社さんを選定するタイミングとしては、購入予定物件の賃貸状況調査の時です。
もちろんインターネットで調べられる情報は事前に調べて、自分なりの意見をもってから周辺の仲介業者・管理会社候補を訪問します。
ここで賃貸状況の聞き取りをするとともに、管理の内容と良好な関係が築けそうかを判断しています。
中には最初は良いことばかりを言っておいて、いざ蓋を開けてみると広告費やリフォーム費用のマージンに重きを置いて儲けようとする会社もあるらしいので注意が必要です。
しかし、管理会社選定から賃貸経営まで全責任を負うのは大家であるあなたです。
当然相手からも信頼される大家になって、忌憚のない意見をいただけるような関係を築いていきましょう。
人から信頼されることが大家業成功の近道
いかがでしたでしょうか?
中級以上の大家さんにとっては当たり前の内容かもしれませんが
- これから大家になりたい
- 今後賃貸用不動産を相続する予定がある
といった初級の大家さんにとって、少しでもお役に立つ内容であれば幸いです。
私はコミュニケーション力の高い大家とは「この人と取引してよかった」「またこの人と取引したい」と思われる人だと考えます。
信頼される大家を目指す事が大家業成功の近道です。
私も元々苦手であったコミュニケーションですが、色々な活動を通じて多くの人を巻き込み経験を積んだ今では「コミュニケーションが好き」と言えるまでになりました。
人生の一部である不動産賃貸業を通じて、自らを成長させていきましょう。
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