「接道義務って何?満たさないとどうなるの?」
「接道義務を満たしていない場合、どうやったらクリアできるの?」
接道義務とは、建物が建つ土地と道路に関するルールのこと。
複雑でわかりにくいですが、土地に建物を建てる場合は必ず満たさなければいけません。
本記事では接道義務についての理解を深められるように、以下のことを解説していきます。
- 接道義務の基礎知識
- 接道義務を満たすための方法
- 接道義務をクリアできないケース
- 接道義務を満たしていない「再建築不可物件」について
特に接道義務を満たしていない物件の売却を考えている人は必見の内容です。
接道義務をよくわかっていない人は、一度目を通すようにしてください。
詳しくは後述しますが、接道義務を満たしていない物件=再建築不可物件。
再建築不可物件は魅力に欠ける不動産なので、特に個人の買い手はつきません。
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Contents
そもそも接道義務とは?
「建物の敷地は道路に2メートル以上接するべし」というルールが接道義務です。
接道義務を満たしていなければ、土地には建物を建てることはできません。
ここでは接道義務について3つを紹介します。
- 接道義務の目的
- 接道義務の対象エリア
- 接道義務をクリアする「建築基準法上の道路」
まずは接道義務のキホンについて、おさえておきましょう。
なお接道義務は昭和25年(1950年)11月23日に施行された建築基準法が根拠です。
接道義務の目的
接道義務を設定する目的は大きくわけて2つです。
接道義務の目的
- 災害のときに逃げ遅れないようにする
- 消防車や救急車のための通路を確保する
目的からわかるように、接道義務は人々の安全のために設けられています。
間口が狭いと火事や地震のときに、敷地の外に出られないということもありえるでしょう。
(間口…土地の正面の幅のこと・一般的に道路に面しているほうの長さをいう)
また道路自体が狭いことで、万が一のときに緊急自動車が入れないと困りますよね。
強制的に一定の広さを確保しておくことで、リスクを低くしています。
接道義務の対象エリア
接道義務があるのは「都市計画区域」と「準都市計画区域」です。
都市計画区域と準都市計画区域の違い
- 都市計画区域
→都市としての開発や保全の必要性から指定されたエリア
※都市計画区域は大きく3つにわかれる
・市街化区域…すでに街になっているか10年以内に街にしようとする区域
・市街化調整区域…活性化しないように建設などが制限された区域
・非線引都市計画区域…市街化区域でも市街化調整区域でもない都市計画区域 - 準都市計画区域
→都市計画区域の外にあるが開発制限のために指定される区域
都市計画区域だけでも、日本の総人口の約94%が住んでいるといわれています。
つまり田舎を含むほとんどの地域では接道義務があると考えていいでしょう。
画像:国土交通省 北海道開発局ホームページ「知っておきたい土地の話(1)」
関連記事以下の記事では市街化調整区域の土地活用や売却方法を解説しています。
接道義務をクリアする「建築基準法上の道路」
接道義務をクリアできるのは、建築基準法に基づいた道路です。
建築基準法第42条で定められた道路は、大きくわけて6つあるので確認しておきましょう。
建築基準法上の道路 | 建築基準法 | 内容 | 公道・私道 |
---|---|---|---|
①道路法による道路 | 第42条1項1号 | 国道・県道など | 公道 |
②都市計画法 などによる道路 | 第42条1項2号 | 都市計画法 土地区画整理法 都市再開発法 などに基づく道路 | 原則公道 |
③既存道路 | 第42条1項3号 | 建築基準法施行時 都市計画区域編入時 にすでにあった道で 一般通行に使われている道路 | 公道or私道 |
④計画道路 | 第42条1項4号 | 2年以内に事業が 行われる予定があり 特定行政庁が指定した道路 | 公道 |
⑤位置指定道路 | 第42条1項5号 | 道路の位置の指定を 受けた道路 | 私道 |
⑥みなし道路 (2項道路) | 第42条2項 | 建築基準法施行前から 存在する幅員4m未満で 特定行政庁が指定した道路 | 公道or私道 |
①~⑤の道路は原則的に、幅員が4m以上なければいけません。
ただし「⑥みなし道路」であれば、幅員が4m未満でも接道義務を満たせます。
また公道か私道かは問わないので、把握しておいてください。
※幅員:道路の幅のこと
①道路法による道路(1号道路)
道路法は道路の種類について、以下のように定めています。
第三条道路の種類は、左に掲げるものとする。一 高速自動車国道二 一般国道三 都道府県道
四 市町村道引用:電子政府の総合窓口e-Gov「道路法」
代表的な公道でも、幅員4m未満なら接道義務は満たせないので注意しましょう。
②都市計画法などによる道路(2号道路)
2号道路は以下のような法律に基づいて造られています。
- 都市計画法
- 土地区画整理法
- 旧・住宅地造成事業に関する法律
- 都市再開発法
- 新都市基盤整備法
- 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法
(または密集市街地整備法)
開発道路とも呼ばれて、築造から数年で管理者が変わり1号道路となることが多いです。
③既存道路(3号道路)
3号道路は建築基準法が施行される前から存在していた道路。
よほど古い道路になるので、境界があいまいになっていることが多いようです。
また公道の3号道路もありえますが、公道はほぼ1号道路になるので私道が多くなります。
なお3号道路なのかどうかは、自治体の専門部署への問い合わせで確認できるでしょう。
④計画道路(4号道路)
4号道路は以下の法律によった、新設などの事業が2年以内に執行される予定の道路です。
- 道路法
- 都市計画法
- 土地区画整理法
- 都市再開発法
- 新都市基盤整備法
- 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法
(または密集市街地整備法)
つまり道路工事が完了していないような状態でも道路と呼べるのが特徴といえます。
なお2年以内というのは厳格ではなく、2年を超えても大丈夫な場合があるようです。
⑤位置指定道路(5号道路)
5号道路は政令で定める基準を満たしながら、特定行政庁から位置の指定を受けた道路。
これまで出てきた、道路法・都市計画法・土地区画整理法などの法律にはよりません。
5号道路の具体的な条件は、建築基準法施行令第144条の4で決められています。
不動産会社など民間業者が、土地の区画割りを行う際に築造される場合が多いです。
要するに宅地開発された分譲地に見られることが多いんですね。
そのため私道ですが、移管(管理を他に移すこと)されて公道となるケースもあります。
⑥みなし道路(2項道路)
みなし道路は以下を満たせば、幅員4m未満でも建築基準法上の道路として認められます。
- 建築基準法が適用された際に建築物が立ち並んでいた
- 特定行政庁(市町村の長や都道府県知事)の指定を受けた
日本にはまだまだ幅員4m未満の道路が多いのが現状。
だからといって、すべての道路を無理やり幅員4m以上にはできません。
そのため上記の要件を満たせば、建築基準法上の道路としてみなす仕組みになっています。
なお幅員1.8m未満でみなし道路となるには、あらかじめ建築審査会の同意が必要です。
【監修者の一言】
42条1項5号の位置指定道路については自治体によって認めていない場合もあります。
また42条2項について実務上は現況幅員の中心線なのか道路との筆界の中心線なのか自治体や現場によって異なる場合もあります。
接道義務違反となる主なケース3つ
接道義務を満たせないケースは大きくわけて3つです。
- 接する道路が建築基準法上の道路ではない
- 建築基準法上の道路に2m以上接していない
- そもそも道路に接していない
接する道路の幅員が4m以上でも、接道義務を満たせない例について解説していきます。
①接する道路が建築基準法上の道路ではない
接する道路が建築基準法上の道路でないと、幅員4m以上でも接道義務は満たせません。
◎建築基準法上の道路ではない道路の例
- 農道
- 林道
- 里道
- 遊歩道
- 暗渠(ふたをした水路)
また見た目が一般的な道路でも、建築基準法に適していない道路はたくさん存在します。
特に個人や民間企業が作った私道は、建築基準法上の道路ではない可能性が高いです。
②建築基準法上の道路に2m以上接していない
建築基準法に適合した道路でも、接している部分が2m未満だと接道義務を満たせません。
特に旗竿地(旗のような形をした土地)には注意してください。
性質として間口が狭いので、2m未満になる可能性が比較的高い土地といえます。
接している部分が2m以上でも、路地状部分が2mより狭いとNGです。
また「2m以上」は1ヶ所の長さで、他の部分とは合わせられないので覚えておきましょう。
関連記事旗竿地についてもっと詳しく知りたい人はチェックしてみてください。
③そもそも道路に接していない
袋地とは、他人の土地に囲まれて道路に接していない土地のこと。
袋地を取り囲んでいる土地のことは、囲繞地(いにょうち)と呼びます。
袋地は道路に接していないので、もちろん接道義務を満たせません。
なお袋地の住人は道路に出る際、隣地の損害が最小限の範囲であれば通行が認められます。
(囲繞地を通る権利=囲繞地通行権・通行料の支払いを求められるケースあり)
接道義務を満たすための4つの対処法
接道義務が満たせないときの対処法を4つピックアップしました。
- セットバックをする
- 隣地を買い取る
- 第43条1項の但し書き許可を申請する
- 土地を位置指定道路にする
上記の方法で接道義務をクリアできる場合があるので、チェックしてみてください。
①セットバックをする
「道路の幅員が4m未満」のときはセットバックが有効です。
セットバックとは、敷地を削って道路を拡張させること(敷地後退)。
向かいが宅地であれば、道路中心線から敷地境界線まで2mを確保すればOK。
向かいの家と合わせて幅員4mを確保することで、みなし道路(2項道路)となります。
セットバック部分はそのまま所有することもできますが、寄付することも可能です。
(寄付は必ず受け取ってくれるものではないので事前に確認してください)
ただし所有しても敷地として使えず、非課税申請しないと固定資産税がかかるので要注意。
セットバックした後に、固定資産税が自動で免除とはならないので把握しておきましょう。
関連記事固定資産税についてもっと詳しく知りたい人はチェックしてみてください。
向かいが宅地でないときは単独で幅員4mの確保がマスト
敷地の向かいが河川などの場合は、河川側の敷地境界線は動かせません。
そのため単独で幅員4mを確保しなければいけないので注意してください。
◎道路の幅員ごとのセットバックの例
- 道路の幅員が1.9m
→2.1mをセットバック - 道路の幅員が2.5m
→1.5mをセットバック - 道路の幅員が3.7m
→0.3m(30㎝)をセットバック
上記のように、道路の幅員に応じたセットバックが必要になります。
②隣地を買い取る
隣地の買い取りは「建築基準法上の道路に2m以上接していない」ときに有効です。
ただし隣地の所有者との交渉が必要なので、素人には難しい面もあるかもしれません。
隣地所有者との交渉に際して必要なこと
- 登記簿や公図の確認
- 適正価格の算定
- 最低価格の準備
あまり利用されていない土地でも、一部を売るのもイヤな人もいるでしょう。
拒否されることもあるので、どうなるかは個々の隣地所有者によるといえます。
基本的に買取金額は、相場よりは割高となるので注意が必要です。
賃貸借契約を結ぶのもアリですが、買い取れれば土地の資産価値はグッと上がります。
難しい交渉も将来の自分への投資となるので、頭に入れておいてください。
③第43条の但し書き許可を申請する
先述した通り「建築基準法上の道路」は基本的に、建築基準法第42条が根拠。
しかし第43条の但し書きが根拠の道路も、接道義務を満たすと例外的に認められます。
建築基準法第43条の但し書きで、認定・許可を得る要件は主に2つ。
- 交通・安全・防火・衛生の面で支障がないこと
- 敷地の周囲に広い公園や緑地などがあること
要するに安全な敷地であると特定行政庁に認められれば、建築が可能になります。
ただし自治体によって基準にバラつきがあるので、把握しておきましょう。
またケースによっては、申請から許可までの流れが複雑になるので注意してください。
建築基準法第43条の但し書き認定・許可の流れ
まずは事前に窓口相談することがマストです。
相談以降の認定・許可までの流れは以下の通り。
◎建築基準法第43条の但し書き認定・許可までの流れ
【第43条2項1号認定の場合】
- 事前相談
- 認定基準に該当
- 認定申請
- 認定
【第43条2項2号許可の場合】
- 事前相談
- 建築審査会案件検討会議
(不許可と判断される可能性アリ) - 一括同意基準に該当
- 許可申請
- 建築審査会同意案件
(不同意と判断される可能性アリ) - 同意
- 許可
敷地の近くに広い公園などがあって、許可を得ようとする場合はハードルが高いです。
画像:足立区ホームページ「建築基準法第43条第2項第1号認定及び第2項第2号許可(敷地等と道路との関係)」
④土地を位置指定道路にする
これまでの方法が難しい場合は、申請によって土地を道路に変えるのが有効です。
多くの場合は複数の土地所有者が土地の一部を出し合って、特定行政庁に申請をします。
先に少し触れましたが、位置指定道路と認められるための要件を再確認してみましょう。
位置指定道路の基準(概要)
1. 道路の形態を造ること(道路境界をL字溝、縁石等で明確にすること)
2. 道路の幅員は、4メートル以上とすること
3. すみ切りを設けること
4. 行き止まり道路の場合は、延長35メートル以下とすること
5. 道路面は、舗装、砂利敷き等ぬかるみにならない構造とすること
6. 勾配は12パーセント以下で、原則として階段状としないこと
7. 排水施設を設けること引用:大田区ホームページ「位置指定道路」
単独の土地でも不可能ではありませんが、ある程度の広さがあることが前提になります。
自治体によっては細かな条件が異なるので、まずは問い合わせてみてください。
2つの道路に面する角地において、角の部分を空地(くうち)にすること。
多くの自治体で定められており、見通しの確保や通行の安全確保を目的とする。
一般的には1辺が2mの二等辺三角形の空地を作ることがルールとなっている。
画像:アーキプロジェクトホームページ「すみきり(隅切り)と角地緩和」
道路の位置指定までの流れ
位置指定道路の申請も、まずは相談からがスタートになります。
参考として静岡県裾野市での申請~公告までの流れを見てみましょう。
◎道路の位置指定が認められるまでの流れ
- 事前相談
- 相談対応
- 本申請提出
- 審査
- 受理通知書交付
- 工事着手
- 工事完了報告
- 工事完了検査
- 指定通知書交付
- 公告
(公告…公人・私人が法的義務から一般に広く周知すること)
⑦工事完了報告では、地目変更後の登記簿謄本の提出が必要なので覚えておきましょう。
画像:静岡県裾野市ホームページ「位置指定道路の申請手続き(建築基準法第42条第1項第五号)」
接道義務を満たせない不動産=「再建築不可物件」
接道義務を満たせないと再建築不可物件になり、資産価値が低くなるのが大きなネック。
しかし売却先や購入の目的によっては、再建築不可物件でも現金化・収益化できます。
再建築不可物件を活かして対処する方法
- 売却する場合
→買い取り業者に売却する - 購入する場合
→リノベーションして賃貸に出す・更地にして駐車場にする
再建築不可物件を売りたい・買いたいと思っている人は、参考にしてみてください。
再建築不可物件を売却するなら「買取業者」が一番おすすめ
再建築不可物件は以下のような原因により、個人の買い手はつきにくいのが現状です。
◎個人の買い手がつきにくい理由
- 建て替えができない
- 住宅ローンを組めない
- 道路が狭く安全性が低い
- 資産価値が低い
- 購入しても修繕費用などがかかる
仲介による売却でも、絶対に売れないわけではありません。
しかし仲介による売却だと1年以上はかかると思ってください。
一刻も早く手放したいなら、買取業者への売却をおすすめします。
業者によっては高額買取も実施しているので、買い叩かれる不安がある人も安心です。
関連記事再建築不可物件についてもっと詳しく知りたい人はチェックしてみてください。
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関連記事以下の記事ではいえカツLIFEの査定の特徴について詳しく解説しています。
再建築不可物件を購入するなら「土地活用」目的が有効
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接道義務について7つのQ&A
Q1. 敷地と道路に高低差があっても接道義務は満たせるの?
敷地と道路の間の高低差がある場合はどうすべきか、法的にはカッチリ決まっていません。
とはいえ当然にルールがないわけではなく、自治体によっては扱いが決められています。
参考として愛知県が採用する、道路と敷地に高低差があるといえるケースは以下の通り。
- 道路と敷地の段差が65㎝以上ある
- 段差の勾配が30度を超える
上記のような場合は「有効な通路等」を設けないと、接道義務を果たせないんですね。
そこで次は2パターンにわけて「有効な通路等」の定義を見てみましょう。
◎パターン別の「有効の通路等」
※いずれであっても通路の幅員が40㎝以上であることが条件
【通路が階段状の場合】
- 段の蹴上げ…65㎝未満であること
(蹴上げ…階段における一段の高さ) - 段の踏面…15㎝以上であること
(踏面…階段における足をのせる上面)
【通路が傾斜路状の場合】
勾配が30度以下であること
愛知県では高低差があっても、上記を満たせれば接道義務はクリアとなります。
画像:愛知県「道路と敷地に高低差がある場合の、敷地から道路に通ずる有効な通路等に関する取扱い」
Q2. 接道義務を満たしているかはどうやって確認するの?
まず所有地が建築基準法上の道路に接しているか、以下の書類で確認してみましょう。
- 法務局の公図
- 土地の登記簿謄本
- 地積測量図
上記がない場合は役所で確認してみてください。
自力で調べるには限界があるので、建築課や道路課に問い合わせるしかありません。
ただしWEB上で道路の種類がわかるように、公開している自治体もあります。
たとえば名古屋市ホームページでは「指定道路図」を公開しているんですね。
画像:名古屋市ホームページ「指定道路図」
自治体によって、公開しているのは「指定道路調書」の場合もあります(または両方)。
画像:世田谷区ホームページ「建築基準法上の道路について」
指定道路図 & 指定道路調書とは?
- 指定道路図
→指定道路の種類および位置などを表示した1/2500以上の平面図 - 指定道路調書
→指定道路の種類・指定の年月日・位置・延長および幅員を記載したもの
自治体のホームページに用意してあれば、活用してみるのがおすすめです。
国は道路情報の公開を推進している
国土交通省のホームページには、道路情報の整備の必要性が言及されています。
その一環として、各自治体で指定道路図・指定道路調書の公開がすすんでいる現状です。
全国自治体の指定道路図・指定道路調書の公開状況(2015年時点)は以下の通り。
◎指定道路図・指定道路調書の公開状況
【指定道路図の作成・公開】
- 全450の自治体の約95%が「作成済み」または「調査・作成中」
- 全450の自治体の約70%が「一部」または「すべて」を窓口で公開
【指定道路調書の作成・公開】
- 全450の自治体の約74%が「作成済み」または「調査・作成中」
- 全450の自治体の約35%が「一部」または「すべて」を窓口で公開
【指定道路図・指定道路調書のインターネット公開状況】
96の自治体でいずれか(または両方)の「一部」または「すべて」を公開
敷地と接する道路の種類はWEB上でもわかるかもしれないので、確認してみてください。
Q3. 道路の幅員はどこからどこまでのことなの?
道路の幅員は基本的に「側溝の外側~側溝の外側」までの長さをいいます。
起点(終点)は白線の内側や側溝の内側からではないので、把握しておきましょう。
側溝に蓋がない場合はどうなるのか、自治体によって見解が異なる場合があります。
また側溝の有無や位置によって、起点が変わることもあるので注意が必要です。
なお法敷(のりじき:敷地~道路の間における傾斜部分)は道路の幅員には含まれません。
画像:川崎市ホームページ「道路について(建築基準法第42条の規定による道路)」
Q4. 位置指定道路はトラブルが多いって聞いたんだけど…?
位置指定道路は私道であるため、所有者と利用者の間でトラブルが起こりやすいです。
◎位置指定道路で起こるトラブルの例
- 路上駐車をめぐるトラブル
例:停めるほうは当然の権利と思っているが他の人には通行の妨げになっている など - 配管埋設工事などでの掘削承諾をめぐるトラブル
例:承諾してもらえない・承諾の代わりに対価を求められる など - 車両通行制限をめぐるトラブル
例:車を通させないようにブロックや植木鉢などを置く など - 営業利用をめぐるトラブル
例:店舗を利用する客の悪いマナーによって被害を被る など - 維持管理責任をめぐるトラブル
例:舗装の修理費や側溝の清掃代の分担が不公平になる など - 花や自転車を置くなど占有・越境をめぐるトラブル
例:占有期間が長く位置指定道路の再認定を受けるよう指導される など
所有者と利用者の性格によっては、たやすく解決しないケースもあります。
位置指定道路を築造する場合は、上記のようなトラブルを念頭に置いておきましょう。
Q5. 道路付けって何なの?
道路付けとは敷地と接する道路との位置関係のことで、接道条件ともいいます。
たとえば敷地の南側に幅員4mの道路がある場合は、道路付けは「南4m」です。
2つの道路と接している場合は、道路付けは「南4m・西5m」などになるんですね。
接する道路の方角は「南・東・西・北」の順に高評価。
また接している道路の数が多いほど、敷地の価値は高くなります。
そのため再建築不可物件でも道路付けによって、評価が多少変わるかもしれません。
道路付けがいい再建築不可物件は、接道義務を満たせば化ける可能性が高いです。
購入・売却のどちらでも、道路付けは重要になると覚えておきましょう。
道路付け別のメリット・デメリット
◎道路付け別のメリット・デメリット(参考)
- 【南側道路】
メリット…日当たりを確保しやすい・資産価値が高い
デメリット…庭が狭くなりやすい・購入する側としては割高感がある - 【東側道路】
メリット…居室をすべて南向きにできる・朝日が入りやすい
デメリット…南側に住宅にある場合はプライバシーの確保が難しい - 【西側道路】
メリット…最も平均的・玄関の配置が自由にしやすい
デメリット…朝日が入りにくい・西日が強い - 【北側道路】
メリット…割安感がある・開放感がある
デメリット…日照が少ない
画像:三井住友トラスト不動産ホームページ「住まいづくりの心構えからトラブルまでQ&A」
Q6. 再建築不可物件の購入ってローンが組めないってホント?
再建築不可物件は住宅ローンを組んで購入するのは難しいです。
金融機関の住宅ローン審査がおりない一番の理由は「担保としての価値が低いから」。
完済できなくなった場合は通常、物件を差し押さえ・競売によって換金します。
しかし再建築不可物件は売れにくいため、担保としての機能を果たせないんですね。
ノンバンクでローンを組める可能性はありますが、金利が高いのでおすすめできません。
以上の事情から、再建築不可物件は基本的に現金で購入することになるでしょう。
Q7. 接道義務のクリア後は建設において特に注意することはない?
接道義務がクリアできていなかった土地は、家が密集した場所が多いはずです。
そのため接道義務を満たしたとしても、建設時には気をつけるべき点があります。
接道義務クリア後に建物を建てる際の注意点
- 建ぺい率
→敷地面積に対する建築面積の割合
※「建築面積(建物を真上から見たときの面積)÷敷地面積×100」で計算する
例:150㎡の土地に建築面積90㎡の家を建てた場合の建ぺい率は60% - 容積率
→敷地面積に対する延床面積の割合
※「延床面積(すべての階の床面積の合計)÷敷地面積×100」で計算する
例:120㎡の土地に延床面積80㎡の家を建てた場合の容積率は66% - 建物の高さの制限
・斜線制限…日照や通風を確保するための制限
(道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限)
・絶対高さ制限…高さ10mまたは12m以上の建物が建てられない
(第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域に適用)
※自治体によっては「高度地区」として建物の高さが制限されている地域もあるのて頭に入れておきましょう。
(例:東京都港区公式HP 建物の高さに関するルールについて)
建ぺい率や容積率の上限は用途地域ごとに異なるので、把握しておきましょう。
(用途地域…建てられる建物の制限や利用目的などでわけた13種類のエリア)
また周辺環境を悪化させないために、建物の高さも制限されるので注意が必要です。
画像:株式会社みっちゃん本舗ホームページ「建ぺい率と容積率」
接道義務=「建物の敷地は道路に2メートル以上接するべし」というルール
接道義務を満たしていない土地は、建物を建てることはできません。
建物が建っていても「再建築不可物件」であるため、資産価値は低く売りづらいです。
接道義務をクリアしていないケースと、その対処法をおさらいしましょう。
- 接する道路が建築基準法上の道路ではない
対処法:セットバックをする・第43条の但し書き許可を申請する
※建築基準法上の道路ではない場合はセットバックをしても道路扱いにはならないので要注意 - 建築基準法上の道路に2m以上接していない
対処法:隣地を買い取る - そもそも道路に接していない
対処法:土地を位置指定道路にする(場合によっては周辺と協力)
また再建築不可物件を売却・購入どちらをするかで、相談先は変わります。
- 売却するなら「再建築不可物件買取PRO」
- 購入するなら「HOME4U」
接道義務を満たしていない土地でも、スムーズに処分または活用ができるはずです。
接道義務を満たしていない、再建築不可物件を買いたいという人は少ないです。
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