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両手仲介の【囲い込み】とは?片手仲介との違いや、囲い込み対策の全知識

両手仲介は本当に「悪」なのか

不動産売却の仲介には「両手仲介」「片手仲介」という2種類があります。

今回は両手・片手のメリットや注意点を軸に、以下の内容を解説。

  • 両手仲介と片手仲介の違い
  • 片手仲介のメリット・デメリット
  • 両手仲介のメリット・デメリット
  • 「囲い込み」を防ぐ4つの対策方法

2種類ともメリットやデメリットがありますが、中でも問題視されているのが両手仲介の「囲い込み」という手法。
当記事では、未だに後を絶たない囲い込みの対策方法も解説しています。

囲い込みの実態を理解して、不動産をスムーズに売却していきましょう。

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◇この記事の監修者◇
T ok i氏

公認不動産コンサルティングマスター

T o k i

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不動産売却における「両手仲介」「片手仲介」の違い

「両手仲介」と「片手仲介」はこう違う!不動産売却をするとき、売主は不動産会社と媒介契約を結びます。

(「媒介契約」について詳しく知りたい方はこちらをみてください!
不動産の"媒介契約"とは?一般媒介・専任媒介・専属媒介の違いを完全解説!

媒介契約に基づいて不動産が売れた場合に売主は「仲介手数料」を不動産会社に支払うのですが、その方法が2種類。

  • 両手仲介
  • 片手仲介

のふたつです。

両手仲介と片手仲介の主な違いがこちら。

 片手仲介両手仲介
買主顧客
の有無
顧客は「売主」のみ顧客は「売主」「買主」の2者
売却までの
スパン
時間掛かる可能性があるスムーズな売却が望める
高く売れる
可能性
高く売れやすい価格が下る可能性が高い
仲介手数料業者は売主だけから手数料を受け取る業者は売主・買主の双方から手数料を受け取れる

大きな違いとしては、売主と買主を両方担当しているかどうかです。

片手仲介は売主の皆さんだけを担当してくれますが、両手仲介は売主と買主の双方を担当します。

両手仲介は「違法」ってホント?

両手仲介はアメリカでは違法になっている!

実は両手仲介はアメリカでは法律で禁止されています

というのも両手仲介は売主と買主を担当するので「売主⇒高く売りたい」「買主⇒安く購入したい」という双方の要求を受けなければなりません。

上記の要求は利益相反(※)になるので、アメリカでは違法とされています。
※利益相反とは、2つの異なる利益がお互いに相反している状況のことです。

 

一方で日本では以下のような考え方から、両手仲介は違法ではありません

日本で両手仲介が違法ではない理由

  • 仲介業者による両手仲介
    ⇒「仲介」なので違法にならない
  • 代理人による両手仲介(双方代理)
    ⇒業者が代理人の立場なら民法で禁じられている

不動産会社はあくまでも「仲介」なので「中立的な立場という点では片手仲介と変わらない」という解釈です。

【両手仲介】売主・買主の双方を担当する仲介方法

 両手仲介
買主顧客
の有無
顧客は「売主」「買主」の2者
売却までの
スパン
スムーズな売却が望める
高く売れる
可能性
価格が下る可能性が高い
仲介手数料業者は売主・買主の双方から手数料を受け取れる

片手仲介と違い、両手仲介は売主と買主の双方を担当します

つまり売主からも買主からも仲介手数料(業務報酬)を受け取れるということ。
受け取る手数料が単純に2倍になるので、両手仲介を行う不動産会社が多いです。

また専任媒介・専属専任媒介と場合、レインズ(※)に不動産が登録されます。(指定流通機構への情報登録)

そのため自社の買主だけでなく、他社の買主が皆さんの不動産を購入できるというのもポイント。

※レインズとは不動産流通機構が運営している、不動産情報を提供するシステム。
レインズに登録することで、不動産情報を業界全体で共有できます。

【一例】

  • 皆さんが両手仲介のA社に売却を依頼、A社がレインズへ登録
  • 別のB社の買主がレインズで皆さんの物件を見つけて興味を持つ

⇒他業者であっても、A社はB社の買主に皆さんの不動産を紹介しなければならない

このように他社であっても、購入希望者が現れると両手仲介業者は不動産を紹介する必要があります。

そんな両手仲介のメリット・デメリットが以下です。

両手仲介のポイント

  • 【メリット】
    一社で完結するので売却がスムーズ
  • 【デメリット】
    「囲い込み」をされるリスクがある

《メリット》一社完結すればスムーズに不動産を売れる

両手仲介のメリットは売却活動を一社で完結出来る!

両手仲介だと自社で買主も探すので、売却が一社完結でスムーズに進みます

片手仲介だと買主を持つ複数の企業が売却活動に参加。
各不動産会社ごとに条件交渉を行うので売却に時間がかかります

売却益よりも、売却のスピード感を重視したい」という方には、両手仲介が都合がいいです。

両手仲介は「仲介手数料」を値引きしてくれる

仲介手数料を値引いてくれる可能性があるのも、両手仲介の密かなメリット。
売主と買主の双方から手数料を受け取れるので、値引き幅に余裕があります。

両手仲介で値引きが成功すれば、早く少ない諸費用で不動産が売れて一石二鳥です。

《デメリット》「囲い込み」をされる危険性がある

両手仲介のデメリットは囲い込みをされる危険がある!

両手仲介でもっとも危険なのが「囲い込み」です。

囲い込みとは両手仲介業者が不動産を独占して、自社の買主だけに皆さんの不動産を売る行為。
ようは売主からの利益も、買主からの利益も独り占めしたいというわけです。

囲い込みの例①

  • 両手仲介のA社が皆さんの不動産売却を請け負い、レインズへ登録
  • 別のB社からレインズを見た購入希望者が現れる

⇒A社は「すでに商談中の物件」と嘘をつき、不動産を独占する


囲い込みの例②

  • 両手仲介のA社が皆さんの不動産売却を請け負う
  • A社はレインズに登録せず、不動産情報を他社に開示しない

不動産情報が広まらず、A社のみで不動産を取り扱うことになる

売主にとっての囲い込みのデメリットは以下の通り。

  • 他社の買主との機会損失になる
  • 売却期間が伸びる可能性がある
  • 不動産の売却価格が下がる
    ⇒機会損失によって、売れない時期が長くなると、値引きせざる負えなくなる

売却が長引いたり売却相場よりも大幅な値引き交渉があったりした際は、囲い込みの可能性があります。

こういった不当行為を見破るためにも、後述の囲い込み対策方法に目を通してください。

>>先に囲い込みの対策方法を見る

※専任媒介・専属専任媒介の場合には"一定期間内でのレインズへの登録"が義務付けられているので「囲い込み」は違法行為。

囲い込みを通報しても不動産会社に罰則はない

囲い込みは宅建業法違反になりますが、囲い込みを行っても罰則されないという現状があります。
罰則されないので囲い込みを行う業者が後を絶たないんですね。

仮に明らかな囲い込み行為を突き止めて通報しても、都道府県知事の判断による処分があるだけ。

不動産売買の囲い込みは罰則が科されない限りはなくなることはないでしょう。

【片手仲介】売主だけから収益を上げる仲介方法

 片手仲介
買主顧客
の有無
顧客は「売主」のみ
売却までの
スパン
時間掛かる可能性がある
高く売れる
可能性
高く売れやすい
仲介手数料業者は売主だけから手数料を受け取る

片手仲介は上述でも触れたとおり、売主のみを担当する仲介業者。

売主はA社が担当し、購入希望者を別のB社が見つけるといったイメージです。

売主の皆さんだけを担当するので、売却利益だけを考えて業務を遂行してくれます。

そんな片手仲介のメリットとデメリットが以下です。

片手仲介のポイント

  • 【メリット】
    不動産が高く売れる可能性が高い
  • 【デメリット】
    不動産の売却までの期間が長くなる可能性がある

《メリット》不動産が高く売れる可能性が高い

片手仲介のメリットは不動産をより高値で売れる可能性がある!

片手仲介の業者は売却活動だけに集中するので、安易な値下げ交渉を受ける可能性も低く不動産が高く売れやすいです。

というのも売却成立後に仲介業者へ支払われる「仲介手数料」は売却価格と比例。

■3,000万円で自宅が売れた場合
仲介手数料:1,036,800円


■2,500万円で自宅が売れた場合
仲介手数料:712,800円

324,000円の差額

このように売却価格が高ければ「仲介手数料=報酬」も高くなります

片手仲介は売主からの手数料が業者の収益となるので、仲介業者も高く売ろうと必死なんですね。

売主に寄り添ってくれるので、妥協なく不動産を売りたい方に最適な仲介方法です。

仲介手数料の計算方法仲介手数料=(売却価格×3%+6万)×消費税率


例)3,000万円の自宅を売った場合

⇒(3,000万円×3%+6万)×1.08=1,036,800円

 

※仲介手数料の相場や詳しい仕組みを知りたい方は、下記もチェックしてみてください。

《デメリット》売却までの期間が長くなる可能性がある

片手仲介のデメリットは売却期間が長くなる可能性がある!

片手仲介の注意点が、不動産の売却までの期間が長くなる可能性があること。

何度も説明しているように片手仲介は売却活動にだけ注力します。

仲介業者も高く売りたい意思が強いので、交渉期間が長引きやすいというわけです。

買換で今の自宅をすぐに売りたい
借金返済の資金調達のために、すぐにまとまった資金が必要

このような方だと、片手仲介による売却は不向きでしょう。

両手仲介による「囲い込み」の予防・対策方法

上述した両手仲介による囲い込みは違法行為
しかし仲介業者からの業務報告だけでは、囲い込みが行われているかどうかわかりません。

以下から紹介する予防・対策方法を理解して、できる限り皆さんの手で囲い込みを防いでいきましょう。

  • 複数の業者へ査定依頼して、売却相場を知っておく
  • 初めから片手仲介の業者と契約する
  • 不動産会社とは「一般媒介契約」を結ぶ
  • レインズに不動産が登録されているか確認する

【対策①】仲介業者を選ぶ時に、複数の業者へ査定依頼する

囲い込みの対策は複数の業者に査定を頼む!

これから仲介業者を探される方は、まずは多くの不動産会社に査定してもらうことが重要。
多くの業者に査定してもらうと、おおよその売却価格を知れるからです。

相場を知っておけば、囲い込みによる大幅な値下げ交渉をされても不当な値引きだと見抜けます

そして売却価格の相場を手早く知るなら「一括査定サイト」を活用してみて下さい。

一括査定サイトの特徴

  • 不動産情報を入力するだけで、複数の業者に査定してもらえる
  • 無料で査定請求できる
  • 悪徳業者を排除しているサイトもある

このように無料&入力するだけで利用できるので、自宅にいながら手軽に売却相場を知ることができます。

不当な値引きを見抜くためにも、まずは一括査定サイトで売却相場を知りましょう。

関連記事不動産一括査定のサービス内容を詳しく知りたい人はチェックしてみてください。

土地を高値で売るために空き地売却経験者が実践したたった1つの裏ワザ…

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【対策②】片手仲介だけの業者と初めから契約する

確実に両手仲介による囲い込みを防ぐのであれば、早い話初めから片手仲介の業者と契約するのもあり。

とはいえ片手仲介オンリーの不動産会社は少なく、以下のような大手不動産屋も両手仲介を行っています。

両手仲介を行う不動産会社

  • 三井不動産リアルティネットワーク
  • 京急不動産
  • 住友不動産販売
  • 東急リバブル
  • 三菱UFJ不動産販売
  • 野村不動産グループ
  • センチュリー21グループ

もし大手で片手仲介を行っている不動産会社を探すなら「ソニー不動産」がおすすめ。

ソニー不動産の特徴は下記でまとめているので、片手仲介だけの不動産会社を希望される方目を通してみて下さい。

片手仲介「ソニー不動産」の特徴

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【対策③】不動産仲介は「一般媒介契約」を結ぶ

囲い込み対策として「一般媒介契約」を結ぶ!

囲い込みの危険性を考えるなら、不動産会社との契約は一般媒介契約を結びましょう。

そもそも囲い込みが起きやすいのは、専任媒介契約・専属専任媒介契約の契約方法。
専任系の媒介契約は1社のみの契約になるので、不正を行っていても売主にバレる可能性が低いです。

  • 【任媒介契約・専属専任媒介契約】
    ⇒1社だけの契約になるので、売主が売却活動を把握しにくい
  • 【一般媒介契約】
    ⇒複数の業者と契約できるので、不正行為が他社から売主に伝わりやすい
    ⇒囲い込みを頑張っても、他社と契約しているので独占できない

このように一般媒介契約は複数の業者と契約するので、そもそも囲い込みをするメリットがありません

囲い込みのリスクを減らすのであれば、一般媒介契約を検討してみて下さい。

不動産仲介の契約方法を詳しく知りたい方は、下記ページをチェック。
各媒介契約の特徴やメリットなどを紹介しています。

【対策④】「レインズ」に不動産が登録されているか確認する

囲い込み対策はレインズに自分の物件が登録されているか確認する!

仲介業者との契約後に囲い込みを見極めるなら、レインズ(※)に皆さんの物件が登録されているか確認てしください。

※レインズとは不動産流通機構が運営している、不動産情報を提供するシステム。
レインズに登録することで、不動産情報を業界全体で共有できます。

前述で紹介した専属専任媒介契約・専任媒介契約は「レインズへの登録義務」があります。

かし囲い込みを目論む業者は、

  1. 一度レインズへ登録
  2. 売主にレインズ登録した旨を伝える
  3. レインズ登録を抹消して囲い込みを行う

といったように、他社に不動産情報を流れないよう手を打ってくるケースもあるんですね。

そしてレインズは業者でなくとも売主の皆さんも閲覧できます
※レインズへの不動産情報の登録はできません

不動産会社との契約後は定期的にレインズを閲覧して、不動産が正しく登録されている確認しましょう。

不動産仲介では「両手」でも「片手」でもリスクはつきもの

今回ご説明したとおり不動産仲介の「両手仲介」「片手仲介」は、どちらを選んでも結局はリスクもメリットもあります

 片手仲介両手仲介
買主顧客
の有無
顧客は「売主」のみ顧客は「売主」「買主」の2者
売却までの
スパン
時間掛かる可能性があるスムーズな売却が望める
高く売れる
可能性
高く売れやすい価格が下る可能性が高い
仲介手数料業者は売主だけから手数料を受け取る業者は売主・買主の双方から手数料を受け取れる
囲い込みの
可能性
囲い込みされるリスクはない囲い込みされる可能性がある

「両手仲介=悪」というイメージが根付いてますが、当記事で紹介したように大手不動産会社は両手仲介がほとんど

そのため売却の可能性を広げるなら、囲い込み対策をして条件に合う不動産会社を選ぶのが手っ取り早いでしょう。

当記事で紹介した対策方法を念頭に置いて、不動産売却を進めてください。

>>囲い込みの予防・対策方法に戻る

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