注意すべき不動産会社の特徴とお部屋探しのコツ
今回は不動産業界歴27年の経験を持つ「福嶋秀樹」氏(有限会社松屋不動産代表)にご寄稿いただきました。
テーマは「気をつけるべき不動産会社」についてです。
福嶋氏によると、1年未満の退去理由に多いのは「不動産会社の対応の悪さ」とのこと。
早期退去の実態を目の当たりにしている福嶋氏に
- 不動産会社が受ける相談内容
- 注意すべき不動産会社の特徴
- 良い不動産会社・お部屋の探し方
についてご解説いただきました。
これからお部屋探しを考える人だけでなく、不動産会社を選ぶ大家さんにも注目の内容です。
ふくしま ひでき
福嶋 秀樹氏
有限会社松屋不動産代表
駒澤大学卒業。
大手不動産会社など17年の不動産売買の経験を経て10年前に独立。
今は主に学生向きのアパートの紹介、新築アパート建築のプロデュース、アパートのリノベーション事業、投資物件の 不動産売買を業務としている。
ライフワークは2011年の東日本大震災から続けている災害ボランティアで東北や岡山県など 様々な被災地へ活動入りしている。
5年前からは福島県南相馬市から子供たちを神奈川県へ無料で招待する活動。
▷テレビ朝日やj-waveなど過去のメディア取材歴: https://www.matsuyafudosan.com/info_waylonsan_1.html
▷南相馬子ども保養プロジェクト: http://www.with-minamisouma.com
Facebook: https://www.facebook.com/hideki.fukushima1
当社は創業43年目で、私自身は父の後を継いで経営者になって10年になります。
継ぐ以前は大手不動産会社で不動産売買の営業を18年しておりました。
当社がある小田急線東海大学前駅には学生数28,000人の東海大学湘南キャンパスがあり、全国からこの街に引越されていらっしゃいます。
これまで経験した事例に基づき、気をつけるべき不動産会社やお部屋の探し方をお伝えします。
不動産会社が受けた相談内容
不動産売買から賃貸の世界に来て 「引越し後間もないけど引っ越したい」というご相談を受けるようになりました。
実際に4年前には、39組の方が1年待たずして当社のアパートに引っ越されています。
弊社でいただく相談内容は築年数や設備などのハード面ではなく
- 住み心地
- 不動産会社の対応
など、ソフト面で引っ越しを検討される内容がほとんどです。
①街の住み心地
街の住み心地については
- 「外観がきれいだから住んでみたけど夜道が暗くて怖い」(女子学生さん)
- 「買い物が不便で生活しにくい」
といった相談を受けます。
こうした相談をされる方は
- 街を知らない
- 相場を知らない
という共通点をお持ちです。
②不動産会社の入居前後の対応
不動産会社の対応によって引っ越しを検討される方もおられます。
「トイレの不調で不動産会社に連絡しても3ヶ月も音沙汰なし」という相談もありました。
こうした方は契約を急かす不動産営業マンの言われるがまま契約しているという共通点があります。
重要なのは「信頼できる不動産会社で物件を探す」
先にご紹介した1年を待たずに引っ越しを決めた39組の方に、なぜ引っ越しをされたいのか伺いました。
その中で意外に多かったのが以下のような理由です。
「契約するまではあんなにニコニコしていた不動産会社の営業の方が街ですれ違っても素通り」
「アパートに関することやそれ以外のことで相談にお店に行ったけどそっけなかった」
私は高校3年生の時から一人暮らしをしておりました。
社会人になってからも「賃貸を借りる」経験を積むため、気に入った物件でも更新時には引っ越してまいりましたが一度も失敗したことはありません。
要因はいくつかありますが、大きいのは信頼できる不動産会社の営業マンを見つけられた点でした。
自身の経験も踏まえて、最初に引っ越し後のフォローがある不動産会社で物件を見つけることはとても重要です。
引越しはお金だけではなく
- 引越し会社の手配
- 住民票の移動
- インフラの開通手続き(電気、ガス)
など、することは多岐に渡ります。
お金などのコストを支払った引っ越しが無駄にならないよう、ぜひ優良な不動産会社を見つけてみて下さい。
気をつけるべき不動産会社の特徴
ここからは気をつけなくてはいけない不動産会社の特徴をお伝えします。
- 急かすような営業トークをする
- 「礼金・敷金なし、仲介手数料半額」を売りにしている
- 非合理的で裏付けのない言葉を使う
①急かすような営業トークをする
住まいというものは、引っ越したことで生活面にベネフィット(利益)がなくてはいけません。
- 引っ越したことにより便利になった
- 通学・通勤がしやすくなった
など、お部屋探しの理由を解決するものでなくてはなりません。
しかし、特に1~3月は引越しシーズンということもあり物件の動きは流動的。
「すぐお部屋がなくなってしまうのでは?」という焦りから「早く決めてスッキリしたい」という考えになってはいませんか。
快適な生活のためのお部屋探しであったのに、結果妥協してしまうケースが多いです…。
皆さんの焦りと妥協を察して「早くしないとなくなっちゃいますよ」と声をかける営業マンがこの令和の時代でもまだいらっしゃいます。
今はインターネットで Amazonなどを使い、お客様ご自身で情報を入手し買い物をする時代。
良いお部屋は、自身で最終的に判断して借りる決断をする時代とも言えます。
不動産会社やその営業マンは、お客様を営業トークで畳み掛けるのは時代遅れ。
その物件で良いのかどうか判断する情報をお伝えする時代と言えるかと思います。
②「礼金・敷金なし、仲介手数料半額」を売りにしている
インターネットなどで
- 「礼金なし・敷金なし」
- 「仲介手数料半額」
といった物件を見かけます。
「初期費用が安く済みそうだから」と興味を引かれることは多いでしょう。
そういう時ほど契約書・見積書の内容をよく確認してください。
私が宅建協会の支部で役員をしていることもあり、賃貸や売買のご契約にかかる相談を受けます。
ご相談の事例では敷金なしで契約したら、管理会社から退去時に高額なお部屋のクリーニング代を請求されたケースも。
物件が決まった安心感からか、契約の条文をよく見ずに退室時に初めて気づいた場合も多いようです。
仲介手数料半額は不自然だと理解する
「仲介手数料半額」という文言ですが、本当に半額であれば良いでしょう。
しかし、ご相談頂いた方の見積書を拝見すると浄水器など様々なオプションがついている場合がございます。
結果的に当社で借りた場合の見積もりの1.4倍だったということも…。
そもそも不動産会社の存続にはお客様からいただく仲介手数料が原資です。
一般的に10年続く企業は、全体の1割以下。
不動産会社が利益を半分にして存続できるかどうかを考えると、自ずと答えは出るかもしれません。
③非合理的で裏付けのない言葉を使う
公益社団法人首都圏不動産構成取引評議会は、広告の表示内容に合理的な裏付けができる根拠がない言葉の使用を禁止しています。
(参考:『不動産の構成競争規約』公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会 2016年4月1日)
一例ですが
- 「格安」
- 「抜群」
- 「最高」
- 「完全」
など、これらの単語をインターネットやチラシ、営業トークの中で使っている会社には注意を払った方が良いでしょう。
その会社が広告のルールを知らないということも意味しています。
良い不動産会社とお部屋の探し方
私はお部屋探しをしていた当時、実際に足を運んでお部屋を探していましたが失敗したことはありません。
今はインターネットが生活の一部になり、私の学生時代に比べてだいぶ探しやすくなったのではないでしょうか。
とはいえ1年待たずに引っ越す方がいらっしゃるので、良い不動産会社と物件の探し方をお伝えします。
①まず住みたい街や駅の周辺を散歩する
初めての街の場合、買い物や病院などの利便性はわからないもの。
その場合は
- 実際に街を回ってみる
- 営業の方に街の様子を聞く
- 実際に車で回っていただく
のが良いかもしれません。
私自身、まず地図を片手に1時間ほど街を確認。
そして住みたいエリアが決まった時に初めて不動産会社へ行きました。
不動産会社の営業の方にも住みたいエリアをお伝えすると、より具体的なご提案を受けやすくなります。
結果、ご条件に近い物件を借りることができるかもしれません。
当社では全国から東海大学湘南キャンパスへご入学の方が多く、この町が初めてという方が大半です。
大学や駅の周辺をツアーし、買い物できる場所や病院へ移動しながらお部屋の探し方をお伝えしております。
②周辺の家賃相場を知る
良い物件だと思いつつ、数を見ていないためになかなか決めきれないこともあるでしょう。
そのような時は物件を探しに行く前に準備をしましょう。
今はインターネットの時代ですから、様々な不動産会社が掲載するポータルサイトを事前に見て、相場感を養ってください。
(ポータルサイトの例)
- SUUMO
- homes
- アットホーム
例えば、特定の駅から徒歩10分圏内の物件相場にあたりをつければ、勧められた物件が相場とどう違うのか判断できるようになります。
当社のお客様にも、自分自身でご判断してお申し込みをするようにお願いしています。
(当社では当然急かすような営業トークは一切ございません。)
けっこう効果がありますので、ぜひお試しください。
③信頼できる不動産会社を探す
全てではないですが市場で募集されている賃貸の物件であれば、ほとんどの情報は
- アットホーム
- レインズ
などの情報共有サイトでどの不動産会社も取り扱えるようになっております。
その点で「何を借りるかではなく“どの会社から借りるか”」という時代になりました。
下調べは不動産会社にホームページがあれば会社概要などで確認できます。
Googleで「住みたい駅(エリア)+不動産会社」で検索して各会社のレビューをご覧ください。
今までお取引されたお客様からの感想などが掲載されています。
そしてお店へ訪問したら、店頭や店内の様子をご覧になってみてください。
もちろん、その際は店頭に「激安」や「完全」「完璧」等の禁止された言葉を使ったチラシなどが掲示されていないかチェックしましょう。
物件選びで失敗しない営業担当の条件私が今まで一度もお部屋探しに失敗したことがない大きな要因ですが、極力下記のような営業の方をお願いしています。
- 実務経験できれば3年以上
- 宅地建物取引士の資格を持っている
- 地元の地理に精通した方(地元出身の方なら尚可)
の3点を持つ方です。
地域性や会社によっては難しいかもしれませんが、こちらを押さえておくと安心して相談できることが多いと思います。
今まで私の高校3年生からの一人暮らし、大学を出てからの不動産業界実務経験27年の経験からお伝えさせていただきました。
皆様のご参考になれば幸いです。
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