耕作放棄地や使われていない遊休地を収益化した仕組みを解説
株式会社ファームフェス様
今回は株式会社ファームフェスの岡崎慎祐さん(取締役/COO)にインタビューをさせていただきました。
株式会社ファームフェスでは農業を中心とした3つの事業を展開されています。
- 農地活用/土地の有効活用方法
- 耕作放棄地問題
- 持続的な土地活用とは
など詳しくお話を伺ってきました。
農地活用を検討している人から収益性の低い土地活用で悩んいる方も、学ぶところは多いと思います。
株式会社ファームフェスとは
分野の異なる3人が農家を守りたい思いから共同起業
――どういった経緯で設立されたのか教えてください。
立ち上げのメンバーは3人いました。
社長の小平は地元鹿児島で小平株式会社という100年くらい続くLPガスをもとにした企業を経営をしており
そのグループ内でオリザ鹿児島ファームという農業法人をたちあげて、トマトの生産にも従事しています。
以前にもオリザというベンチャーを立ち上げ農業の作物の流通だったり、コンサルタントなどをやっていました。
二人目は中目黒でカフェをやっていた柏木。
そして僕がもともとWEB広告やデジタル領域での企画などデジタルマーケティングが専門で、
子供の教育や体験に興味があってキッザニアで勤務をしていた経験があります。
我々3人は柏木の経営していた中目黒の「コンバイン」というバーで飲む友達でした。
――ご友人お三方がなぜ起業なされることになったんですか?
もともと農家さん向けに「農家専門のクラウドファンディング」を立ち上げられないか、と話し合いをしていました。
そんな中2014-’15年は台風など天災が多く起こった年で、2015年の台風で小平の農場のハウスが全壊。
今は手厚く出ている補助金も当時は200万ほどの被害に対して補助金はたったの20万円だけでした。
――被害総額の1/10ですね…。
はい。その現状を受けて「やっぱり助けてあげたいね」という思いが強まりました。
そこから本格化して2015年10月に会社を設立。
僕はまだその時キッザニアにも働いていたんですが、3人で立ち上げて紆余曲折あって今に至るということですね。
――実際3人でスタートアップされたときに、具体的になにかやられたいサービスなどはありましたか。
柏木に子供がいて、その子とスーパーで買い物しているときに「何でリンゴは1年中あるの?いつ、どこで、どうやって作ってるの?」みたいな質問があったそうです。
技術の発展に伴って「1→10または100」にするのはAIなどテクノロジーの領域だと思いますが、
人間としてできることって「0→1」をつくることだと思っています。
その中でも「農業」はモノづくりの原点中の原点で「自然」についても一度に学べる。
とくに僕は子どもが好きなので“教育”という視点から、「BtoC」のファームフェスで事業を立ち上げることに至りました。
個人・企業を相手にした農業ビジネスを展開
(写真:RE FARMプロジェクトの契約農家で開催された収穫祭の様子)
株式会社ファームフェスさんでは
- FARMFES
一般消費者向けサービス - RE FARMプロジェクト
企業・法人向けサービス⑴ - Let's Go
企業・法人向けサービス⑵
の3つの事業を展開されています。
詳しく伺ってみました。
FARMFES…一般消費者向け(個人向け)サービス
――御社事業「FARMFES」について教えていただけますか?
子供たちに農業の仕組みをわかってもらった上で農家さんを応援してくれないかなという意図があって立ち上げたサービスです。
(今はリニューアルに向けて一旦ストップしてますが…。)
このファームフェスについては「命名権」を利用したサービスなので、農地法などの土地の縛りはありません。
なので申し込みがあって農場の名前を決めて看板をたてた時点から契約スタート。
そこから収穫までの期間、Web上で毎月ファームフェス通信を送ってその時の農地の情報を発信しています。
――収穫の時期は実際に収穫にいくのか、希望制ですか。
収穫を希望すれば行けるシステムになっています。
ただ農場によってはいけないパターンもあって、例えば養豚の場合は衛生管理の関係で飼育小屋に入れないんですよ。
なので小さい生まれたての子豚の写真を「こんな子です。」と紹介があって、それがだんだんと成長して10ヶ月になると肉になって送られてくるみたいな。
これは例外で、基本的には収穫のアナウンスをして希望者がいれば来ていただくっていうような形でした。
――ご契約の形態はどうなっていますか。
契約は1年でやっていました。
ですが現実的には、やっぱり作物によって収穫までの期間が半年しかないものもあるんですよね。
また果実のリンゴも花がさいて実になるところまではやることはありますが、何もならない冬の間はほとんどやることがありません。
その間は
- 農家の活動を発信
- 一年間web上でのコミュニケーション
ということをやっています。
――農家とオーナーは同一?
BtoCサービスに関しては一緒です。
――実際に企業されて、現在の事業展開をどのように見ていらっしゃいますか?
事業を展開しましたが、BtoCについてはユーザーを集めるのに苦労しました。
みんな農業っていうと「良いね」「行ってみたい」とか言うんですけど、いざお金をはらって「体験」となるのと話は別なんですよね。
農場に行った方は必ず満足されて帰ってはくるんですけど、そこに行くまでの障壁を超えるのは困難を要しました。
今はBtoBの経験なども活かし、また新しい体験をつくっていこうということで一時的にストップしています。
▼FARMFES ホームページ「FARMFES~わたしの農場もてちゃった!~」
RE FARMプロジェクト…㈱JTBとの協業事業の企業向けサービス
――「RE FARMプロジェクト」について教えてください。
㈱JTBと協業のプロジェクトで、㈱JTBの初年度のアクセラレーターでたまたま最終選考の2社に残ったんです。
応募時の内容はBtoCのサービスで「ギフト」みたいな切り取りを構想していました。
例えばですけど好きな子がいて、その子に農場をプレゼントをして「来年収穫に行こうね」だったり
子供が生まれてりんごの木を植林し、誕生日近くに収穫された作物が手元に。
渡してから収穫までの間、途切れずに続いていくギフトとして提案しました。
この発想がアクセラレータープログラムでウケて㈱JTBさんとお仕事させていただくことになったんですよね。
その後、最終的に㈱JTBの売り上げの7割を占めるBtoBのアライアンス/システムをつかって
より利益を上げて農場をどうにかして売れないかという話になりました。
――BtoBサービスに転換する際にはどの点に着目して構想されたんですか?
昨今では企業のCSR(※1)が今盛り上がってきているので、
- CSRをパッケージ化
- 地域問題を解決
- 地域と企業の関係構築(※2)
この3つを達成できる事業を考えました。
※1 企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任を持って適切な意思決定をする責任のこと。
※2 企業が有する事務所や店舗、出身地などを含む「地域」との関係性を良好に保ちたい企業にアプローチ。
農業を媒体にして企業と地域の関係構築を図る。
「耕作放棄地」は地域の景観とか獣害などの問題を引き起こすので、農家さんの問題ではなく地域の問題だと思うんですよね。
なので地域の問題を解決するという視点も加えました。
それに付随して僕の前職の知り合いをとおして絶対に余ってしまう野菜をこども食堂に送り、貧困の問題への取り組み。
これら「クアドラプルCSR」でプロダクトを組んで、企業さんにあたってもらっています。
当プロジェクトの扱う耕作放棄地には「遊休地」・「耕作地」もすべて含まれています。
耕作放棄地になる可能性のある土地も含めて、企業のスポンサードをうけて「耕作放棄地」を再生していくっていうプロジェクトです。
――契約の流れ(RE FARM)-法人様とのご契約にいたるまで、どのようなきっかけから進むのですか?
1年契約で行っています。
当初は㈱JTBの営業マンにお任せする予定でしたが、もともと旅行を営業していた彼らに「農地・農業」の営業はすぐには浸透しませんでした。
本社/当プロジェクトの事務局をやってくれている霞が関事業部などと定例会を行ってはいますが
なかなかそれが営業マンまで下りないんですよ。
なので僕ら何人かで㈱JTBの各支店をまわって、説明・ヒアリングを実施しました。
その際「このクライアントさんならいけそうですね」という話があればそこから当たっていった形です。
建築関係の法人様の場合、建築することで多少なりとも環境を破壊しているという認識があり
さらに国交省管轄の入札をするときにCSRポイントみたいなものが加算されています。
社会貢献活動としてこの事業も活用できるので、そこにターゲットを絞ってあたってもらっています。
▼RE FARMプロジェクトHP「RE FARM~耕作放棄地をRE FARMしませんか?」
Let's GO…企業のニーズに柔軟に対応したサービス
――Let’s go はどんな事業でしょうか。
RE FARMよりもっと自由なプロダクトです!(笑)
Let’s Goでは耕作放棄地という縛りがなく企業の要望に応じて柔軟にカスタマイズ可能な事業。
「耕作放棄地」という土地の限定を除けば「RE FARMプロジェクト」と似ていますね。
▼Let's Goの詳細・お問合せ先はこちらから
→地方創生プロジェクト「Let's Go」
農家と思いを共有して事業を展開
――農家さんとの契約はどのようにされていますか。
年間(1年間)契約でやっています。それで一応自動更新でやっています。
――ご契約農家さんの中には実際にどのような方がいらっしゃいますか?
どちらかというと面白い農家をえらんでいます。
例えば都内で働いていたけどドロップアウトして農家に転じたケースなど。
最初の段階では山梨県北杜市の農家さんが多かったです。
新規就農する人の8割が県外出身者なんですよね。
一番仲がいい農家さんは高校までスケーターで金髪でした。
それがたまたまオレゴン州に行って、ホームステイしながら大規模農園の短期就労をすることに。
「農業」というシンプルなモノづくりを行い、それに対価が支払われることに憧れをいだき帰国しました。
その後北杜市の市役所にいって「200万しかないけど農業やらせてくれ」みたいな。
そんなキャラクターの濃い農家さんと仲良くさせていただいています。
――とても面白いご経緯で農業につかれている方がいらっしゃるのですね!
御社はどのようにそのような農家さんを見つけてご契約されていらっしゃるんですか?
代表の小平がもともと農業系でコンサルをやっていたんで、ある程度の農家の下地の知り合いがいました。
- 知っている農家さんの知り合い
- 僕らの周りのドロップアウトして地方にI・Uターンをしている農家
弊社の思いに共感してくれるところと契約するようにしています。
とにかく農家さんのところに行って、いっぱいお酒飲んで語らいました(笑)
――なるほど、心と心でぶつかりあっているということですね。
今はおかげ様で3年のうちに200農家以上と契約しています。
――実際に農家さんと契約されていらっしゃるわけですが、実際ご契約可能な農地・農家さんの条件はありますか。
- 40歳前後ぐらい
- ある程度のITリテラシーがある
- メールができる
- SNSができる
これぐらいを最低条件にしています。
あとはキャラクターだけです!
――なるほど。実際に消費者の方はコミュニケーションをとっていくんですもんね。ひとつ重要なポイントになるわけですね。
農地バンクを活用した耕作放棄地再生・活用
(写真:耕作放棄地を再生した農地で開催された「収穫祭」の時の様子。)
「農地バンク」を活用して農家と契約
――農家さんとご契約されているとのことでしたが、農地はどのように獲得されているのですか?
RE FARMプロジェクトの耕作放棄地に関しては中間管理機構(通称:農地バンク)を利用して契約を行っています。
契約までの手順はこんな感じです。
- 株式会社ファームフェスが契約可能な農家さんを見つける
- 農家さんと中間管理機構で契約
- 農家さんと株式会社ファームフェスが契約
僕たちは農業法人ではないので農地法の問題で農地を借りられません。
農家さんに農地を借りてもらって、そのうち僕たちが農家さんと「いくつ以上埋めますって」いう契約を結んで進めている形ですね。
ある地域の中間管理機構で管理されている土地では、7000㎡で年間3万円(※)で貸してくれるんですよ。
※農地の広さ、金額については地域によって異なります。
農地バンクとは農地中間管理機構(通称:農地バンク)とは、平成26年度から全都道府県に設置された「信頼できる農地の中間的受け皿」です。
貸主にとっては
- 使われていなかった土地に利益が生じる
- 諸経費の支払い・管理をしてもらえる
など利点が多く、借主もまとまった土地が借りれるシステムです。
――「FARMFES」の中では「耕作放棄地」はどの程度含まれていますか。
耕作放棄地や遊休地がほとんどで、“耕作放棄地になる可能性のある土地”も含まれます。
「来年もうおじいちゃん辞めちゃうからやらなくなってしまうんだよね」っていうような土地もありますね。
農家・オーナーともにメリットの高い「農地バンク活用」
――「耕作放棄地の再生・活用」のメリット・デメリットがあれば教えていただけますか。
在庫がいくらでもあるという点が挙げられます。
耕作放棄地は全国で42.3万ヘクタール、東京都と大阪府を合わせてすこし大きいくらい。
地方ではどこの自治体も「耕作放棄地問題」を抱えており、どこにでも在庫があるので僕らとしては横展開しやすいというメリットがありますね。
~耕作放棄地再生・活用のメリット【経済面・管理面】~
農地のオーナー | 農家 | |
---|---|---|
【経営面】 | 放棄されていた土地が契約される=収益化 | 比較的安価で大規模まとめて農地に出来る=収益化 |
【管理面】 | 農地バンクが定期的に支払ってくれる=安心 | 面倒な支払い関係は農地バンクがしてくれる=楽 |
デメリットとして挙げられるのは、それなりの問題があって耕作放棄地になっているということ。
- 本当にダメな土地
- 栄養がない土地
はユーザーさんにも面目が立たないので、こちらからお金を払ってでもどうにかしなければいけない場合がありますね。
農家の方にインセンティブを投入した農業―キャッシュフローの改善
――耕作放棄地を再生・農業をしていくというのは大変だと思うのですが、農家さんたちのモチベーションはどう保たれていますか?
農家さんには通常作ったものに対してしか対価が払われないですが、このRE FARMの場合は契約した段階でお金を渡しています。
――頭金ということですね。
そうですね。
農家さんとして安定してまとまったお金が入るので安心して農業に従事していただけます。
加えて震災などが起こって一気に収入が減ることもないので農家のキャッシュフロー改善になります。
地域の特性ごとに考える農地活用
八ケ岳の事例:盆地で雨がすくない土地でも成功した有機農法
株式会社ファームフェスの「RE FARMプロジェクト」で現在耕作放棄地の活用に成功している山梨県北杜市。
その中でも八ケ岳は日照時間が少なくいのが特徴。
「半日村」という呼び名があるにも関わらず有機農法の作物を生産、企業の契約が進められています。
一見農業が難しいように思える土地でのビジネスをいかにして成功に導いたのか、お話を伺いました。
(写真:山梨県北杜市、八ケ岳にある再生前の耕作放棄地の様子)
――RE FARMプロジェクトの耕作放棄地の特徴があれば教えてください。
山梨県北杜市はサントリーの白州工場があるところです。
その中でも八ケ岳からの湧水群で名前のついている箇所は50か所以上。
日本名水百選に3つ選ばれていたりと水が特に有名な地域です。
みなさんもサントリーの「南アルプスの天然水」として飲んだことのある水だと思います。
盆地になっていて南アルプス・富士山・八ケ岳に囲まれているので意外と雨が少ないんですよね。
そのため、有機農業に非常に向いている土地だといえます。
――有機農法は雨が少ない土地に向いているのは初めて知りました。
作物の育成には日照時間が大きく関係してくるので「雨が降らない=日照時間が長い」ということになります。
また水源があるので、とりわけ水に困ることはありません。
水や立地が有機農業に向いている利点があったからうまくいっています。
――REFARMの場合だとどれくらい収益が入るのか教えてもらえますか。
一平米でだいたい6500円、地域や作物で異なります。
ここは場所もよくて
- バスあり
- トイレあり
- 近くの道の駅で農作物をおける
- BBQ場あり
と恵まれた立地になります。
また北杜市にあるRE FARM農場は有機JAS(※)の認定済み。
採ってスグに食べても大丈夫なので、体験に向いてます。
有機JAS認定とは、農林水産省が定めた品質基準や表示基準に合格したもの。
基準を満たしたものには「有機JAS認定」のマークがつきます。
(↑有機JAS認定マーク)
農林水産省が認めている“有機野菜”はこの「有機JAS認定」の野菜のみで、全体のたったの0.2%です。
――一平米6500円は高いですね
高いですよね。現在は3000㎡くらい埋まっています。
6500円の場合、農家さんの手取りがは3,500円/㎡。
その残りをうちとJTBでわけているみたいな状態です。
都心の市民農園ではターゲット層をとらえることが重要
――都心では市民農園や農地の賃貸が流行っていますが、そことはどのように差別化を図っていらっしゃいますか?
ターゲット層をかなり意識をしています。
- 恵比寿の屋上やお台場がやっている市民農園
→家族がターゲット - それ以外の市民農園
→高齢の方がターゲット
みたいな感じです。
アンケートや調査に基づいて、分析しながらターゲットを定めています。
その中から一番ターゲット層が多そうな市民農園に焦点をあてました。
そこからドロップアウトして、もうちょっとライト目なところをやろうとしていたんですけど。
――ライト目というと?
体験しなくてもいい感じを目指しています。
ギフトプランがそういうものになります。
(写真:株式会社ファームフェスの「ギフトプラン」※現在サービスを一旦休止しています。)
市民農園をドロップアウトした方たちにアンケートして聞いてみると
- 毎週行かなければいけない
- 結構大変で枯らしてしまった
などの声を多く耳にしたので、農家を補助できるようなものができないかと考えています。
ただ「市民農園」も東京などの首都圏しか通用しなくて、特に関西だと全然だめなんですよ。
――場所ごとに特性・性格があるのはおもしろいですね。
東京都内でアンケートを行った時に
- 「年をとった後は地元に帰りたい」
- 「こどもに土を触らせていない罪悪感」
という意見が多く見られました。
首都圏は地方から出てきた方が多い土地なので、そういった心理が働くのだと思います。
その辺りを意識してやっていく感じです。
現在はそのフレームから抜けて「社会貢献」という点にシフトして「REFARM」を進めている感じですね。
土地の“特性”を把握=最適・持続的な農地活用に
――農地のオーナーさんは農地の収益化に結び付くために、一番何をした方がいいのか感覚的な知見があればおしえてください。
千駄ヶ谷に市民農園があったけど契約に空きがなく満杯なのにつぶれてしまったんですね。
つぶれた現在は「駐車場」に。
なので農地活用より駐車場の方が利回りがよかったっていうことです。
――たしかに都会の駐車場の利回りとなるとかなりいいですものね。
都市部と地方の問題でかなり変わってくるんじゃないかなと思いますよね。
――土地の特性をみて土地活用を考えていく必要がありますね!
たとえば耕作放棄地とかでいくと神奈川にはあまりないんですよ。
そもそも農地が少なく農家も必ず息子についでいくという世襲制がほとんど。
または鎌倉野菜などは完全にJA(農業労働組合)におろしてブランド化しているので、ほとんどの場合儲かっているんです。
埼玉の農家、千葉の農家はそうはいかないですね。
都市部の養蜂で新たな発見
――北杜市の他では何か事業を考えていらっしゃいますか?
市原ではちょっとプロジェクトの作物も変えることになりました。
大手不動産がバブル時代に大量に買い上げ荒廃させてしまった土地がありましたが
知り合いの農家さんが地元の林業会社と組んで、コツコツと30ヘクタール復活させました。
そこにイベントで子供を連れてお花を植えてもらって、少しずつ花畑に変えて「養蜂」をやります。
この春から販売開始しているので気になった方はぜひ!
▼「養蜂」との取り組みについて、詳細は近日中に以下で掲載されるのでチェックしてみてください。
→RE FARM~耕作放棄地をRE FARMしませんか?~
――養蜂というのは素敵ですね!お花ときれいな土地があれば選択肢の1つになるんですね。
わかりやすいですよね、お花で養蜂って。
実は地方で養蜂やるより都会で養蜂された蜜の質が良いと言われています。
作物を得るために整備された農園ではなく、公園とか外路地など基本的には農薬をつかわれていないお花からとれる蜜なのでとても質がいいんです。
通常農地では有機農法は2%くらいしかないんですが、そこと比較しても都会の蜂蜜はいいということになりますよね。
株式会社ファームフェスの今後の展望
子どもたちへの農業教育を発展
(写真:山梨県北杜市八ケ岳の契約農地にたてられた看板)
――今後の展望がございましたらお教えください。
今後は教育系の事業もやっていきたいです。
あとは耕作放棄地を全部復活させるのは難しいですが、ある程度土地を広げた段階でさらに活用していこうとも考えています。
たとえば2年目にはスポンサードしてくれない・更新されない企業さんもあると思うので、そこをBtoCに展開していきたいなと思います。
横浜市での活動
――耕作放棄地の活用・再生のほかにされている事業がありましたら教えて下さい。
たとえば横浜市立の小学校に有機農法の農場を1から作っています。
横浜市「はまっこ未来カンパニープロジェクト」では教育委員会が助成金を設けて企業と学校をマッチング。
企業と学校が一緒に特別授業の時間を作る事業です。
年間何回か授業をして、農業が抱える問題をわかりやすく説明しています。
専用インターネットページを開設して
- 生徒たちが自分たちの農地に関する記事を投稿
- 農家さんがコメント・アドバイス
- 生徒たちが農家さんのアドバイスを農地に還元
ができるような授業になっています。
補助金や公的機関との連携をつよめて全国事業に展開
――収益化以前のコストはどのように捻出していたのですか?行政の補助金などの活用はされていたのでしょうか。
ほぼ助成金は使っていないです。
本当は農泊など、いろいろ補助金があるので活用したいと思っていたんですが、結局活用できてないですね。
――機材の運びだしは農家さんたちがご自身でやってくださったんですか?
機材の運びだしなども基本は農家さんがやってくれています。
そのためにお金を頭金として支払っています。
――参加については何か企業側に市との関わりがありましたか?
北杜市の場合だとREFARMに参加してくれた企業に市からの感謝状が送られます。
契約第一号の時は、副市長が直接契約企業の代表者様に感謝状を授与していただきました。
基本的には自治体と組んで、OKを出してもらえる事業の枠組みになっています。
もっと大きな形で成果として残るようであれば、もっと入り込んで市の事業として展開できると思うんですよね。
それを今少しずつ頑張っている感じです。
農地とプレイヤーを繋げて耕作放棄地問題を解決
――最後に読者の方に何かメッセージがありましたらお願いします。
空き地の問題って、耕作放棄地の問題と近しいものがあると思っています。
活用していくにも、コンテンツを作って箱があっても、それを動かす人がいないと意味がありませんよね。
僕らは両者をつなげるハブになっていきたいと考えています。
耕作放棄地を復活させて企業に使ってもらうということは、企業との関係を持つということ。
そこからどんどん雪だるま式に広げていきたいと思っています。
空き地の問題も単体だけでは解決する問題ではなく、何かとセットで解決していくことが重要です。
――農地を持っている方が御社に連絡をして、立候補してから契約していただくこともできますか?
はい、もちろんです!
トチカム編集部後記
今回の記事では、
- 農家・企業と農地契約
- 農地バンクを活用した耕作放棄地再生・復活
- 利益を生むことで持続的な土地活用
で成功をおさめている株式会社ファームフェスにインタビューしました。
彼らの事業からわかったことは土地・農地活用のためにはまずその不動産・地域を分析することが大切だということ。
自分では有効活用した気になっても、その地域のニーズとマッチしていないと初期投資を回収できずに赤字になってしまいます。
何事も事前の入念な調査やマーケティングが必要不可欠です。
会社名 | 株式会社ファームフェス(/FARMFES.co,Itd) |
---|---|
代表取締役 | 小平 勘太 |
設立日 | 2015年10月23日 |
事業内容 | ・農業区画契約仲介 ・WEBプラットフォーム運営 ・法人向けコンテンツ提供事業 |
HP | https://farmfes.com/corporate |
当記事でご紹介した農地も同じですが
- 農地を転用できないけど土地活用したい
- 比較的楽に農地を活用したい
人は「農地⇒農地として活用」がおすすめです。
- 売却
- 賃貸
- 市民農園
の3つの方法からそれぞれ自分にあった農地活用を考えてみましょう。
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