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利回り10%以上!満室経営の秘訣とは
〜自主管理と土地の価値に着目した経営戦略~

 

今回はサラリーマンから不動産投資家へ転身され、現在は8棟の物件を所有されている(※)小林ヒロシ様に取材を行いました。
※(2019年12月時点)

本記事では

  • 不動産投資を始められた経緯
  • 投資物件を選ぶポイント
  • 独自の経営術
  • 不動産投資をする上で注意すべきこと

など、取材を通して得た情報を余すことなくお伝えします。

これから不動産投資をする方や不動産経営に悩んでいる方は、最後まで読んでより良い不動産経営を実現してください。

不動産投資の略歴と始めるきっかけ

2008年〜現在までに8棟の物件を所有

――まず初めにこれまでにご購入された物件について教えていただけますでしょうか。

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私が所有する物件は

年数購入物件
2004年新築2棟(自宅兼)
2008年中古物件2棟
2009年購入物件なし
2010年中古物件2棟
2011年中古物件1棟
2012~2018年購入物件なし
2019年中古物件1棟

というように徐々に投資物件を増やしていきました。

また2011年7月ごろにサラリーマンを退職し、現在は大家を本業にしています。

――物件を購入していない期間が長い時期がありますが、なぜでしょうか。

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私は自分の求める条件に完全に一致した物件のみを購入します。

そのため良い物件に出会わなければ、8年の期間が空いたとしても無理に購入はしません。

また規模の拡大は目指していなくて、キャッシュフローの良さを重視していることも私の特徴といえますね。

最初の物件はマイホームローンで購入――一番初めに物件を購入された時は融資を受けていたのでしょうか。

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はい、2棟ともマイホームローンで融資を受けています。

マイホームローンは同時に借りれないので、1棟目のローンを一括返済してから2棟目を購入しました。

最新購入物件の利回りは都内相場の1.5倍

――差し支えない範囲で現在の経営状況について教えていただけますでしょうか。

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最近7月に購入した物件では

  • 駅から徒歩5分
  • 角地
  • もう1つの方角が公園で視界が良い
  • 築20年程度
  • 重量鉄骨
  • 3階建て

という物件で利回り12%という経営状況です。

ちなみに所有物件全体では10%程度になっています。

都内で不動産投資をした場合の相場は7~8%くらいなので、かなり良い方かなと思います。

将来への不安から現物のある不動産投資を選ぶ

――現在8棟もの不動産を所有されていらっしゃいますが、そもそも不動産投資を始められたきっかけについて教えてください。

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当時外資系の企業でサラリーマンとして働いていました。

ですが会社がずっと存続するのか不安があり、このままでは将来的に厳しいかなという気がしていて…

その時に

  • 転職するか
  • 何か(事業を)始める

の二つの選択肢で考えた時に「不動産投資」が1つの手段かなと思いました。

――様々な選択肢がある中で、不動産投資に決めた理由について教えていただけますでしょうか。

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何と言っても不動産投資には“現物”があるということですね。

また不動産投資は経営的な要素が多く、利回りや収益を自分の力で上げていくことにも魅力を感じました。

株などは資産価値がゼロになってしまう可能性もあります。

――不動産投資以外で実践した投資などはありますか。

  小林ヒロシ氏取材記事アイコン画像

株や投資信託をしたことがありますが、何百万円も損を出してしまいました

その時に感じたのは「自分の得意なことをしないといけない」ということです。

それから色々と考えて、もともと興味の強かった不動産投資を本格的に始めることにしました。

現物かつ経営要素が豊富な不動産投資

投資物件を選ぶ際のポイント

物件の決め手は土地の資産価値

――投資物件はどのようなポイントで決めているのでしょうか。

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まず不動産投資を始める上で重要なのはリスクが低いことだと思いました。

その結果「借金する額と同様の資産価値がある土地」に着目し、ローリスクを実現しています。

例えば5,000万円借金をしたとしても、土地に同額の資産価値があれば問題ありません。

都内は特にですが土地は減価しにくいですから。

借入額と同価値の土地購入で利益損はゼロ

――土地の資産価値が重要とのことですが、資産価値が高い土地とはどのような土地なのでしょうか。

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具体的には

  • 土地のカタチが三角形や旗竿地ではなく四角形
  • 駅から10分以内
  • 公道に面している
  • 角地
  • 想定利回りが8%以上

であるような土地です。

私が物件を探す際には、このような条件を不動産会社にぶつけます。

そうすると不動産会社がそれに見合った不動産を紹介してくれますね。

資産価値の高い土地の条件5つ

物件選びは土地の価値>建築構造――土地の価値以外に建物の種類などで判断することはありますか。

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種類はまったく気にせず、様々な建築構造の物件へ投資・賃貸経営をしています。

例えば

  • 木造
  • 軽量鉄骨
  • 重量鉄骨
  • RC

など全種類持っています。

木造に関しても、程度が良ければ買いますね。

設備メンテのコスト削減で利回り改善

――所有物件の中で何か特色のある物件などがあれば教えていただけますでしょうか。

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4階建ての賃貸物件で、エレベーターが無い物件があります。

エレベーターには数千万円程のメンテナンス費用が必要です。

入居者にとってはきついかなと思いましたが、浮いたコストの分家賃を低く設定。

入居者を確保して空室を防いでいます。

多額のコストを削ることができれば、全体でみて家賃を多少低くしても利回りを良くできます

仮に物件にエレベーターがついていた場合、購入はしていませんでした。

自宅付近の物件に投資し土地勘を活かす

――小林様のブログで自宅から5キロ以内の物件を選んでいると拝見しましたが、その理由について教えていただけますか。

  小林ヒロシ氏取材記事アイコン画像

物件を自宅付近で決めれば「土地勘」を最大限生かせるからです。

駅の場所やスーパーなどの施設の場所をほとんど把握していますからね。

また駅の再開発や新しい施設の建設など最新の情報がすぐに入ってくることもメリットです。

遠方で不動産投資をするポイント――自宅から遠い場所での不動産投資する方もいるかと思いますが、気を付けるポイントはありますか。
  小林ヒロシ氏取材記事アイコン画像
やっぱり私が重要だと思うのは、人が集まってくる場所に投資することです。
今転入率が高いのは東京、埼玉、千葉、神奈川あたりです。
例えは悪いですが、魚の泳いでいない川で魚はつれませんので場所は吟味する必要があります。

独自の不動産経営術

所有物件は全て自分で管理する

――ブログやTwitterで所有物件はご自身で管理されていると拝見しましたが、いつ頃からされているのでしょうか。

  小林ヒロシ氏取材記事アイコン画像

もう初めからです 

最初に「自主管理でやってみよう」と思ってやってみたら意外とできました。

買い進めていった際に無理なら頼めば良いかなと思っていますが、今も自主管理でやっています。

――自主管理をしてみて大変だった点はありますか。

  小林ヒロシ氏取材記事アイコン画像

始めた当初は連帯保証人がいない方も受け入れていましたが、入居者に夜逃げされてしまったことも…。

現在はそこから学んで保証会社をパスした方のみ入居できるようにしています。

賃貸物件を自分ですべて管理することはカンタンではありません。

しかし委託した場合は家賃の5%程度を支払うので、収益の点で自主管理のメリットは結構大きいです。

遠方の物件は管理会社選びが重要

――例えば離れた地域に不動産を所有する場合、自主管理は難しいかと思います。
そのような場合はどのようにしたら良いのでしょうか。

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その場合は信頼できる管理会社を見つけることが重要です。

優良な管理会社は稼働率が9割以上なので、管理会社を決める際には稼働率を聞くことをオススメします。

稼働率9割以下の場合は空室のリスクが高まるので他の管理会社にした方が良いでしょう。

また管理専門の不動産会社であればより安心だと思います。

ですが私は「不動産“投資”ではなく不動産“経営”」だと思っているので、自主的に何でもやっていくことが大事ですね。

家賃・管理費は臨機応変に設定

――家賃や管理費で工夫していることはありますか。

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自主管理であれば状況に合わせて家賃を変えることができます。

また一戸あたり84,000円であれば、家賃79,000円・管理費5,000円と分けて設定。

家賃8万円以下で検索した際に条件に該当するようにすれば、より多くの人に見てもらえる可能性があります。

家賃と管理費に分けて閲覧者の幅を広げる

――状況に合わせて家賃を調整するとのことでしたが、実際に家賃を下げるケースはどのような時ですか。

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入居者が出る場合は1ヶ月前に退去予告が入るので、その時点で次の入居者の募集を開始。

その際問い合わせの件数が少ない場合は多少家賃を下げています。

あと民泊業者は高めに借りてくれるので、民泊業者が出て一般の方が入る時にも家賃を調整していますね。

空きスペースの活用・設備投資で利回りアップ

――最新購入物件では利回りが12%ということでしたが、不動産投資を始めた当初から利回りは高かったのでしょうか。

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利回りは徐々に良くなってきています。

その一因として空いたスペースにバイクの駐輪場や自動販売機を設置したことがあると思います。

利回りが良くなった後は、設備を充実させて家賃を高く設定して多くの収入を確保しています。

また家族向けの物件が多いので退去率が低く、空室が出にくいのも大きいですね。

空きスペース活用で副収入を得る

自販機設置のきっかけはPokémon GO?――自販機の設置のきっかけは何だったんでしょうか。

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きっかけはPokémon GOです。

伊藤園の自動販売機はPokémon GOのジムになっていて、飲み物を購入するとアイテムがゲットできます。

特別なアイテムが出た時などは、売り上げがすごく上がるらしいです。

そこで伊藤園に自動販売機の設置に興味があることを伝えると、伊藤園の方が現地視察にきてくれて具体的な話が進んでいきました。

全方位戦略でいち早く空室の情報を流す

――物件の購入や入居者の募集をする不動産会社は1社に絞っているのでしょうか。

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いえ、私は全方位戦略でやっています

都内はもちろん、埼玉の東京よりや千葉の東京よりなど幅広くカバーしています。

やり取りのある不動産会社のアドレスは1,200件ほどもっています。

例えば所有物件の中に空室が出た場合、1,200件に空室が出たことを一気に連絡する感じですね。

――1,200件ものアドレスはどのように収集していったのでしょうか。

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最初はもらった名刺をアドレス帳に登録していたのですが、それでは全然足りません…。

そのためHPから拾ったりと地道に増やしていきました

しかし物件情報を一気に送れることのメリットがわかっていたので、コツコツ続けることができました。

入居者の対象を広くして空室リスクを減らす

――小林様はどのような方を対象に入居者を募集されますか。

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私の物件では

  • ペット連れの方
  • 事務所
  • 生活保護の方
  • LGBTの方
  • 民泊業者

全てを入居者の対象にしています。

後は短期で借りたい場合も条件によっては許可していますね。

仮住まいで借りたい方って結構いて、家を建てるのでその間住みたいみたいな…。

そうすることでより多くの方を入居者として見込むことができます。

修繕費用は敷金と物件の築年数でコントロール

――不動産経営のコストとして「修繕費用」がありますが、小林様の場合年間でいくら程になるのでしょうか。

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修繕費用は年間で大体20万円程度です。

その他には原状回復等にも費用がかかりますが、私の場合は敷金償却にしているのでそこから賄うようにしています。

敷金償却にしておくと退去時に敷金精算がないのも良いですね。

POINTペット可の物件は「敷金2ヶ月分償却」に

――入居者と契約する際に特約として盛り込むべき内容や、契約書で気を付けておくべきことはありますか。

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私の場合は所有物件の全てをペット可にしています。

そのためお部屋の原状復帰にコストが発生することもあるので敷金2ヶ月分償却」を条件に契約書を作成。

またペットの被害がひどい状況で、敷金で賄いきれない場合は入居者に請求する旨も予め記載しています。

――入居者から「○○だから直して欲しい」という連絡があった場合には、どのように対応をしていますか。

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その場合、リフォーム会社に修繕が必要な旨をメールします。

ただ私が所有する物件はすべて平成築なので、修繕で苦労することはありません。

あるとしても給湯器やエアコン、蛇口の水漏れの修繕が年に2、3回の頻度です。

そのため入居者からクレームがくるということはほぼありません。

不動産投資で知っておくべきポイント3つ

融資を受けるためには地道な努力が必須

――スルガ銀行の不正融資等(※)で、不動産投資に対する融資が厳しい状況かと思います。
不動産投資を検討している方が融資を受けるために必要なことがあれば教えていただけますでしょうか。
※参考:「スルガ銀、不動産投資で不正融資 地銀の苦境深く」2018年12月30日、日本経済新聞

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私の場合はネットで「不動産投資 銀行」などと検索し、片っ端から電話して30~40社ほど会いに行きました。

現状でいうと、そのような地道な努力をするしかないのかなと思います。

【今後は融資規制が緩和される可能性アリ!】

小林氏によれば、スルガ銀行は今回の一件で融資を再開するといった話が出ているそうです。

金融機関にとっては融資による利益拡大は重要なので、近いうちに規制が緩和される可能性も。

今後の動きに注目です。

まずは良い物件を押さえることが重要

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物件購入の際はローン特約(※)で借りるケースが多いです。
※ローン特約:融資を受けることを前提で売買契約を終結し、融資が受けれなった場合は売買契約は無効になる特約のこと。

良い物件を押さえておき、もしもローンが組めない場合はまた次の物件を見つければ問題ありません。

そのため融資の条件よりも、まずは良い物件を押さえることが最優先です。

またローンを受けた後で借り換えや金利を下げる交渉をすることも可能です。

一番優先すべきは物件を押さえること

契約書で保険の補償内容を確認しておく

――これまでに賃貸経営をしていて、「これは知らなかった」ということがあれば教えてください。

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不動産投資を始めてから知ったのは、火災保険が火災以外の被害にも適応されることです。

例えば突発的に何かが物件にぶつかって破損した場合にも火災保険は適応されます。

そのため契約書などの約款はしっかり見ておいた方が良いですね。

銀行などに勧められた書類を良く見ずにハンコを押してしまうことって結構あるので…。

火災保険の適用範囲は意外に広い

修繕が必要になった場合は写真で記録を残しておく

――自主管理をしている方で、例えば火災保険で適応される範囲を理解していないために自費で修繕をしてしまうケースはありますか。

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知らずに修繕している場合はあると思います。

ただそのような場合に備えて、修繕などは記録に残しておくことが大切です。

――記録に残しておくというのは紙面で残すのでしょうか。それとも写真などで残しておくべきなのでしょうか。

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被害の状態を写真で残しておけば問題ないでしょう。

ただ経年劣化と判断されて、否認されるケースもあることは把握しておく必要があります。

トチカム編集者後記

今回の取材で特に印象に残ったのは「不動産投資ではなく不動産経営だと思っている」というコメント。

地道な努力や様々な試行錯誤をしていく様子はまさに「経営」そのものでした。

これから不動産投資を始める方は

  • 土地の資産性を重要視する
  • 自分で経営する自覚を持つ
  • どんな時も情報収集を怠らない

ようにして、ぜひ満室の賃貸経営を目指してください。

 

【小林ヒロシ氏 プロフィール】

こばやし ひろし
小林ヒロシ氏
不動産投資家/ママチャリ大家

2008年から不動産投資をはじめ、2011年にサラリーマンを早期退職。
現在は本業大家として自宅付近5km以内の物件に限定し、8棟の物件を購入・不動産賃貸経営を行う。
独自の経営戦略を駆使した自主管理方式でほぼ満室経営を実現している。

[著書]
『一日30分で年4000万円稼ぐ!スマホ1台でらくらく儲かる不動産投資法』(ダイヤモンド社)

Twitter:@hkobachan

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