- 「突然山林を相続したもののどう扱えばよいかわからない」
- 「山林て売れる?どうやって、いくらで売れるの?」
そんな風に持て余した山林を売るに売れないでいたり、売却したくても方法や妥当な値段がわからないでいる方は多いかもしれません。
「売るのが難しくて安いなら現状維持で次の世代に相続させよう」と思う方が多いです。
たしかに山林の土地は宅地ほど売買が盛んではありません。
しかし実際に山林の売買に成功した人が一定数いるのも事実です。
今回は山林の売買の現状について、国土交通省の統計とデータをもとに土地活用プランナーの筆者が徹底的に調べあげました。
山林の売買の価格相場や所有する山林の価格の調べ方、売却の方法や依頼先まで詳しく解説しています。
Contents
山林の売買は難しいが、全く売れないわけではない
山林の売買が難しいといわれる理由
山林の売買が難しいと言われるワケは、宅地と比べ買いたい人が少ないからです。
木が立っていて、傾斜のある山林は賃貸経営や事業には向かず、需要も価格も低くなります。
宅地と比べた山林売買の特徴
- 買いたい人が少ない
- 取引件数が少ない
- 値段が安い
山林の売買は、宅地に比べれば難しいというのは事実です。
~監修者から一言~
私たち土地家屋調査士の中では「山林の測量が困難なこと」も問題視されています。
広大な面積や樹木、高低差による測量困難を理由に売却価格よりも測量費用の方が高額になることもしばしば。
また山林は特に相続登記未了や所有者不明地が多く存在するので、境界の確認が困難なケースもあります。
山林の売買の取引件数は増加している
しかし、あくまで"難しいだけ"で全く売れないというわけではありません。
山林の売買の取引件数は宅地と比べ少ないですが、実際は増加しています。
山林の売買の都道府県別の現況
国土交通省の「土地総合情報システム」にある不動産取引価格情報検索では、山林の売買取引に関する情報が都道府県・市区町村別にわかります。
以下H29年度第3四半期~平成30年度第2四半期における、データをまとめた表です。
都道府県 | 取引合計件数(件) |
---|---|
北海道 | 672 |
青森県 | 386 |
岩手県 | 318 |
宮城 | 161 |
秋田 | 202 |
山形県 | 151 |
福島県 | 327 |
茨城県 | 119 |
栃木県 | 315 |
群馬県 | 92 |
埼玉県 | 148 |
千葉県 | 311 |
東京都 | 33 |
神奈川県 | 62 |
新潟県 | 268 |
富山県 | 90 |
石川県 | 176 |
福井県 | 67 |
山梨県 | 77 |
長野県 | 224 |
岐阜県 | 420 |
静岡県 | 461 |
愛知県 | 217 |
三重県 | 237 |
滋賀県 | 142 |
京都府 | 155 |
大阪府 | 12 |
兵庫県 | 192 |
奈良県 | 64 |
和歌山県 | 129 |
鳥取県 | 203 |
島根県 | 334 |
岡山県 | 369 |
広島県 | 304 |
山口県 | 253 |
徳島県 | 169 |
香川県 | 72 |
愛媛県 | 227 |
高知県 | 341 |
福岡県 | 229 |
佐賀県 | 72 |
長崎県 | 218 |
熊本県 | 542 |
大分県 | 538 |
宮崎県 | 688 |
鹿児島県 | 743 |
沖縄県 | 77 |
北海道や九州地方を中心に山林の売買取引が行われていることがわかります。
山林の売買の全国の取引件数は増加している
都道府県別の取引件数をもとに10年間の取引件数の推移をグラフにしました。
H20年~H30 年の10年間で取引件数が1,000件、取引面積は2万ha増加しているのがわかります。
【木材と山林の需要が増加し買い手は増加している】
山林売買の取引件数の増加と共に着目したいのが日本産の木材と山林の需要の増加傾向です。
木材と山林の需要が増加し、買い手も増加しています。
黄色の「丸太」が木材がどれだけ売れたかを示します。
木材の需要、山林の需要とともに山林の買い手は増加中です。
(参照:林野庁「我が国の木材需給」「林業の動向」)
~監修者から一言~
- 世界的に木材が高騰していることで、日本産木材が割安になっていること
- 木材系バイオマス発電やボイラーなどが普及していること
これらの理由から丸太・製材品の輸出や燃料材の需給が急激に伸びていることが、山林の買い手増加の要因だと考えられます。
【山林売買の相場】売却価格の調べ方も解説
山林売買の取引価格の相場は以下の通り。
都道府県 | 1番多かった取引面積(㎡) | 1番多かった取引金額(万円) |
---|---|---|
北海道 | 5,000㎡以上 | 200万円 |
青森県 | 5,000㎡以上 | 500万円 |
岩手県 | 5,000㎡以上 | 50万円 |
宮城 | 2,000㎡~3,000㎡ | 100万円 |
秋田 | 2,000㎡~3,000㎡ | 200万円 |
山形県 | 1,100㎡~2,200㎡ | 100万円 |
福島県 | 3,000㎡~4,000㎡ | 70万円 |
茨城県 | 2,000㎡~3,000㎡ | 120万円 |
栃木県 | 1,000㎡~2,000㎡ | 70万円 |
群馬県 | 5,000㎡以上 | 200万円 |
埼玉県 | 1,000㎡~2,000㎡ | 50万円 |
千葉県 | 2,000㎡~3,000㎡ | 100万円 |
東京都 | 5,000㎡以上 | 300万円 |
神奈川県 | 5,000㎡以上 | 100万円 |
新潟県 | 2,000㎡~3,000㎡ | 100万円 |
富山県 | 1,100㎡~2,200㎡ | 50万円 |
石川県 | 1,000㎡~2,000㎡ | 150万円 |
福井県 | 1,900㎡~2,500㎡ | 30万円 |
山梨県 | 1,200㎡~2,500㎡ | 30万円 |
長野県 | 5,000㎡以上 | 70万円 |
岐阜県 | 2,000㎡~3,000㎡ | 170万円 |
静岡県 | 1,000㎡~2,300㎡ | 100万円 |
愛知県 | 2,100㎡~3,000㎡ | 200万円 |
三重県 | 1,000㎡~2,000㎡ | 150万円 |
滋賀県 | 1,000㎡~2,000㎡ | 80万円 |
京都府 | 2,000㎡~3,000㎡ | 200万円 |
大阪府 | 1,000㎡~2,000㎡ | 50万円 |
兵庫県 | 500㎡~1,000㎡ | 70万円 |
奈良県 | 5,000㎡以上 | 100万円 |
和歌山県 | 1,000㎡~2,000㎡ | 1040万円 |
鳥取県 | 1,000㎡~2,000㎡ | 150万円 |
島根県 | 2,200㎡~4,000㎡ | 70万円 |
岡山県 | 3,000㎡~4,000㎡ | 80万円 |
広島県 | 5,000㎡以上 | 300万円 |
山口県 | 2,500㎡~3,700㎡ | 200万円 |
徳島県 | 5,000㎡以上 | 220万円 |
香川県 | 2,200㎡~4,000㎡ | 300万円 |
愛媛県 | 800㎡以上 | 200万円 |
高知県 | 1,800㎡以上 | 100万円 |
福岡県 | 200㎡以上 | 200万円 |
佐賀県 | 50㎡以上 | 20万円 |
長崎県 | 120㎡以上 | 200万円 |
熊本県 | 500㎡以上 | 100万円 |
大分県 | 200㎡以上 | 80万円 |
宮崎県 | 150㎡以上 | 80万円 |
鹿児島県 | 200㎡以上 | 100万円 |
沖縄県 | 170㎡以上 | 200万円 |
(参照:国土交通省の「土地総合情報システム」)
地域によっても異なりますが、おおむね50万円~200万円の価格帯が多いです。
山林の売買価格の目安を調べる方法
- 国土交通省の「地価公示・都道府県地価公示調査」で調べる
- 倍率方式で算出する
上記2つの方法で近くの山林の土地価格を調べることができます。
パパっと調べたいなら「地価公示・都道府県地価公示調査」を参照するのがおすすめ。
自宅のPCやスマホで所有する山林の相場価格がわかります。
また手元に固定資産税評価額はわかるものがある人は、倍率方式を使って算出してみるのもいいでしょう。
①国土交通省の地価公示・都道府県地価公示調査から調べる
「地価公示・都道府県地価公示調査」では、その名の通り公示地価もしくは都道府県地価調査による土地の価格を調べられます。
- 公示地価
毎年1月1日、国土交通省が公表している土地の売買取引の目安となる価格 - 都道府県地価調査
毎年7月1日、都道府県知事が地方公共団体などで実際にされた売買取引の価格を基準に土地の価格を調査しHPで発表すること
まず国土交通省「標準地・基準値検索システム」に移動して、調べたい地域を選択します。
まず最初に上述した「地価公示」か「都道府県調査」いずれか、または両方、知りたい価格を選択し用途区分の「林地」にチェック。
検索結果には、地価だけでなく「交通施設・路線」として最寄駅までの距離や「雑木林地」など利用区分が表示されます。
利用区分とは林地が何に使われているのか使用目的を示すものです。
- 雑木林地:種々雑多の材木が混ざっている、特に営利目的のない山林
- 用材林地:建物の建築に使う材木を育成する目的とされる山林
「所有している山林の付近では雑木林地より用材林地の方が地価が高い」など付近の山林の値段の傾向もわかります。
②倍率方式で算出する
林地の価格は倍率方式で算出できます。
固定資産税納税通知書が手元に保管してある方や、近隣の区役所や自治体などで固定資産税評価額を観覧できる環境にある方には倍率方式がおすすめです。
固定資産税評価額とは市区町村が決定する価格です。固定資産税や登録免許税を算出する際に用いられる。
固定資産税評価額は毎年6月に送られてくる固定資産税納税通知書に記載。
田畑や農村、山林など路線に接していない地域では路線価方式でなく倍率方式で求めます。
倍率が公表されているのは国税庁のHP「路線価図・評価倍率表」です。
固定資産税評価額にかける倍率は同じ地域でも宅地や田畑、山林など地目で異なります。
山林の倍率表での表記の仕方は3種類です。
- 純=純山林:市街地から離れ、宅地の影響を受けず山林として評価される
- 中=中間山林:市街地と純山林の間にある山林で、山林として評価される
- 比準=市街地山林:市街地で宅地がある山林で、宅地として評価される
山林の評価額は宅地があるかないかで変わります。
純山林など市街地から遠く宅地のない山林は中間山林に比べても比率が低く評価額も小さいです。
【倍率方式の計算例】
- 固定資産税評価額:50万円
- 倍率:12
山林の価格=固定資産税評価額×倍率
=50万円×12
=600万円
山林を売却する方法3つ
山林の売却の依頼先は3つです。
- 山林売買の道標・森林組合に相談する
山林の状態を正確に知った上で売却の話を進められる - 山林売買専門の斡旋サービスを利用する
PC上で山林の売買の相場を抑えながら買い手を見つけられる - 一括査定サービスで適した業者を探す(←1番おすすめ)
売却する前に「売れるかどうか」「相場はどのくらいか」がわかる
近くに山林の売買を得意とする不動産会社がある場合をのぞいては、直接不動産会社に飛び込むのはおすすめできません。
トラブルを避けるため、上記を参考に契約前にワンクッションおける仲介役・依頼先にコンタクトとってみましょう。
①山林売買の道標・森林組合に相談する
森林組合に相談すれば、山林の状態を詳しく把握できます。
自身の山林の状態をおさえ慎重に売却の計画を立てたい方におすすめです。
森林組合とは森林・山林の所有者が集まり、森林の保全や林業を協力して行う団体。組合員の出資により運営されている。(2018年現在、日本全国で約700団体、加入者160万人)
山林の状態を把握し、どのような買い手が見つかるか、売却の相談もできます。
地域によっては組合員が所有する山林の売却を斡旋。
下図は日吉町森林組合の、売却したい山林の情報が紹介されたHPです。
売却一覧をざっと眺め気になる山林があったら、詳細を観覧できるようになっています。
お近くの森林組合に、山林の売買でどんなサポートをしてもらえるのか聞いてみましょう。
②山林の売買専門の斡旋サービスを利用する
山林売買専門の斡旋サービスは山林を買いたい人と売りたい人が、双方の情報を入手できるサービスです。
ネットだけで手っ取り早く買い手を見つけたい方に向いています。
- 山林活用ドットコム
- 山林売買.net
- 山林バンク
(参照「山林売買.net」)
山林を売りたい人は氏名や連絡先、物件の詳細を入力。
入力された山林の情報を扱うのは斡旋サービスの専門スタッフです。
(※入力した山林の情報を買い手が直接見るわけではありません。)
山林を買いたい人は登録された物件情報一覧を見て、条件に合う山林があれば詳細を見ることができます。
所在地、面積、価格で条件に合いそうな物件があれば「詳細」ボタンをクリック。
立ち木の樹種や本数をみて購入したいと思ったらメールで問い合わせます。
売りたい人は山林の情報を登録するだけで買いたい人とマッチングされる山林の売買独自のシステムです。
③一括査定サービスで相場をおさえ、仲介してくれる不動産会社を探す
一括査定サービスを利用すれば山林の売却価格の相場がわかります。
複数の不動産会社から届いた価格を比較し条件が合えば依頼する不動産会社が見つかるサービスです。
一括査定サービスの公式HPに移動したら物件種別で「山林」を選択。
価格を査定できる不動産会社がリストアップされます。
査定を依頼した業者との相性がよければ、入力後3週間で売却が成立するケースも珍しくありません。
■イエウール
イエウールに登録している不動産会社は全国1,700社。
もちろん山林や農地の一括査定にも対応しています。
※上記のボタンを押せば、無料査定申し込みフォームに移動します。
(関連記事:イエウールの口コミ・評判は最悪…?不動産のプロが11つの事実を伝えます)
■イエイ
イエイには個別相談できる「何でも相談室」や24時間年中無休の「問い合わせフォーム」があります。
「本当に山林売却できるの?」そんな不安があるオーナーさんでも安心して売却の一歩を踏み出せるはずです。
※上記のボタンを押せば、物件の無料査定申し込みフォームに移動します。
山林売買にかかる費用
山林の売買に必要な費用は2つです。
- 仲介手数料
- 売買契約書に貼る印紙代
①山林売買の仲介手数料【悪徳業者に注意】
山林の売買の仲介手数料の上限額の概算は次の計算式で求められます。
取引額 | 上限額概算の即算式 |
---|---|
200万円以下 | 5% |
200万円超~400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
一般的な不動産取引と同じく、仲介手数料は売買の取引額に応じた額です。
山林の売買取引の価格は200万円以下の場合も多く5万円を超えないことも多々あります。
※悪質業者に注意
山林の売買は宅地と異なり、特別なルールがありません。
- 山林の売買は宅地建物取引業者でなくても取引できる
- 仲介手数料は自由に設定できる
無免許で売買できるので、宅地建物取引業の規制を無視して仲介手数料を設定することもできます。
「高価売却のため」といって高額な仲介手数料を請求する悪質業者が後をたちません。
30年以上前には「原野商法」といって「この辺りの地価は急騰する」と言って買わせる商法が流行りました。
上記相場を参考に、不当な仲介手数料を払わないように気をつけましょう。
いずれも仲介をはさまずに直接不動産会社や個人の間で取引する場合は注意しましょう。
(関連記事:不動産売却の仲介手数料はいくら?計算方法と相場が丸わかり【値引き厳禁】)
②山林売買の印紙代
山林の売買には売買契約書が必要です。
売買契約書には印紙を貼り付ける義務があり、料金は売り主が支払います。
山林の売買の売買契約書とは山林の面積や取引金額、手付金、取引が行なわれた期日など書面で確認できるように、売る人と買う人双方の同意で作成する書面
売買契約書はほとんどの場合2通作成し、売る人と買う人どちらの手元にも保管します。
山林を売る人が負担するのは1枚分の印紙代です。
売買取引金額 | 印紙代 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円~10万円 | 200円 |
10万円超~50万円 | 200円 |
50万円超~100万円 | 500円 |
100万円超~500万円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円 | 3万円 |
1億円超~5億円 | 6万円 |
5億円超~10億円 | 16万円 |
山林の売買で印紙代は1,000~1万円ほどになります。
山林の売買で発生する税金
山林は売却の仕方で課税対象が山林所得と譲渡所得に分かれる
山林は売却の方法で課税対象となる所得の種類が変わります。
- 山林の土地を売った場合は土地による譲渡所得
- 山林の立木を切って売った場合は立木の山林所得
立木に価値のない山林を丸ごと売った場合、課税対象となるのは土地による譲渡所得だけです。
土地は売らず立木だけ売った場合に発生するのが山林所得になります。
山林の土地による譲渡所得
山林の土地売却で得られる収入は譲渡所得とみなされます。
費用として計上できるのは、おおむね次の3つ。
- 土地を取得したときに支払った登記費用
- 登記する際に支払った印紙税
- 購入や売却にかかった不動産会社への仲介手数料
土地を購入もしくは取得したときの登記費用も売却にかかる費用として認められます。
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山林の立木による山林所得
山林の売却で立木から得られる収入は山林所得です。
山林所得とは山林の取得後5年以上の立木を売って得られる収入のこと。
取得後5年以内の立木から得られる所得は、所得税の対象になりません。
※雑所得として申告することになります。
費用として計上できるものは次の3つです。
- 仲介手数料(立木を購入する際に不動産会社に支払った費用)
- 植林費(山林に立木を植えるのにかかった費用)
- 管理費(山林の立木を管理するのに使う費用)
管理費の主な内容は森林組合費、伐採費、立木の運搬費などで、大体100万円~500万円です。
長い間放置され運搬するための経路がない山林は、道路を開通するのに1,000万円以上かかる場合もあります。
【※山林所得の特別控除と軽減措置】
- 特別控除
→全ての山林に適用 - 軽減措置
→国の条件を満たす山林に適用される制度
山林所得の特別控除は全ての山林に適用されます。
軽減措置は国の条件を満たす山林に適用される制度です。
■特別控除はすべての山林に適用
山林所得の特別控除額は50万円です。(※参照:国税庁「山林所得のあらまし」)
■森林特別控除は条件付きで適用
山林所得は国の計画に基づく伐採や売却による収入である場合、森林特別控除が適用され税額が軽減されます。
- 2,000万円以下:山林所得×20%
- 2,000万円以上:山林所得×10%+200万円
山林所得に対する税金は上記の通り軽減された価格に対して課せられます。
山林の土地による譲渡所得にかかる税金の計算方法
山林の土地による譲渡所得に対してかかる税金は3種類です。
※取得後5年以上経過していない山林の売却に対しては税金は課せられません。
(参照:国税庁「山林所得の範囲」)
- 所得税=譲渡所得×所得税率
- 住民税=譲渡所得×住民税率
- 復興特別所得税=所得税×2.1%
復興所得税のみ「所得税額×税率」になるので気をつけてください。
山林の土地による譲渡所得にかかる税金は3種類の合計額になります。
山林の土地の譲渡所得税の税率
山林の譲渡所得税の税率は15%、住民税は5%です。
※課税対象が「5年以上保有」なので、必然的に長期譲渡所得に該当します。
【計算例】
売却金額5,000万円、土地の購入代金が3,000万円、売却費用が300万円の場合
- 土地の譲渡所得にかかる税金は{5,000万円-(3,000万円+300万円)}×15%=255万円
- 土地の譲渡所得にかか住民税は{5,000万円-(3,000万円+300万円)}×5%=85万円
山林の立木による山林所得にかかる税金の計算方法
山林所得に対する税金の計算は以下の手順で行います。
- 課税対象となる山林所得を1/5にする
- 求めた金額に応じた税率を乗じる
- 求めた金額に5をかける(5分5乗方式)
(参照:国税庁「山林所得・山林所得や税額の計算方法」)
以下500万円の山林所得を得た場合を例に、税金の計算方法を解説していきます。
①課税対象となる山林所得を1/5する
山林所得は500万円なので「500万円÷5」で100万円になります。
②求めた金額に応じた税率を乗じる
山林所得の税率は以下の通り。
課税となる山林所得 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円超~695万円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超~900万円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超~1,800万円 | 33% | 153万円6,000円 |
1,800万円超~4,000万円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超~ | 45% | 479万6,000円 |
今回の例では「100万円」なので、税率は5%です。
「100万円×5%」で5万円になります。
③求めた金額を5倍する
「5万円×5」で25万円が山林所得にかかる税金です。
山林は売却できる可能性がある!具体的な計画を立てよう
「山林は値段がつかない」「山林は売れない」は半分ホントですが、半分ウソです。
国土交通省のデータを参照すれば、
- 山林の売買は47都道府県で余すことなく取引されている
- 山林の売買の取引件数は近年増加している
ことがわかります。
本記事で解説した価格相場の調べ方や売却方法を参考に、山林を売る具体的な計画をたててみましょう。
まずは森林図や森林計画図で、自身の山林の状態を正確に把握するのが先決。
自分で調べるのが不安な方はお近くの森林組合を訪ねるも有効です。
また山林の売却を検討しているなら、まず無料一括査定サービスがおすすめ。
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