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【市街化調整区域の土地活用】実現可能な有効活用方法7つを厳選【収益性の比較アリ】

市街化調整区域でも収益化可能!

「市街化調整区域では建築できないから土地活用はムリ」

そう思って有効活用を半分諦めている方も多いでしょう。

しかし活用方法次第では、市街化調整区域の不便な土地にも収益化の道が残されています

当記事では土地活用プランナーの資格を持つ筆者が、市街化調整区域でも実現可能な活用方法を7つ厳選しました。

市街化調整区域では"何ができて何ができないのか" という点から丁寧に解説していくので参考にしてみてください。

市街化調整区域のように法律や規制が絡む土地を有効活用する際には、まず専門家に相談するのがおすすめ。
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(関連:HOME4U土地活用の評判の真相!強み6つと注意点2つを土地活用プランナーが説く

関連記事市街化調整区域の売買については下記のページで詳しく解説しています。
【市街化調整区域の売買】実際の売却価格はどのくらい?売れない時の解決策も伝授
◇この記事の監修者◇
佐藤祐己氏

土地家屋調査士(法務大臣認定ADR土地家屋調査士)

佐藤 祐己

*所属*
山形県土地家屋調査士会

詳しくみる

市街化調整区域で土地活用するには

簡単に言うと市街化調整区域とは原則建物を建ててはいけない地域です。

都道府県が計画的な都市づくりを進める中で、無秩序に建築が始まっては統率が取れません。

そういった事態を避けるために指定されたのが市街化調整区域。
行政が「当面市街化が必要ない」と判断した地域は市街化調整区域に設定され建築が抑制されます。

東京の市街化調整区域

東京の市街化区域(青)・市街化調整区域(赤) 調整区域が郊外に広がっていることが分かります。

市街化区域と市街化調整区域の違い

市街化調整区域で例外的に建築可能な建築物は2種類

市街化調整区域でも建てられる建物

抑制されてるとはいえ、全く建築物が建てられないわけではありません。

  • 農林漁業に必要な建物
  • 公益上必要な建物

この2つのケースに当てはまる場合は例外的に建築が許可されます。

農林漁業に関わる物件

市街化調整区域はもともと農林漁業に従事する人のために定められた区域です。

なので木材を保存しておく小屋波止場の冷凍施設農業従事者の家などは建築OK。

農林漁業を保護するために必要な施設や従事者の生活が担保するための施設は建てても大丈夫です。

公益をもたらす施設

駅舎図書館老人ホーム保育園など公益を伴うものは調整区域でも建築を許可されることがあります。

周辺住民の利益につながるのなら収益施設であってもOK。

後述で紹介していますが、公益施設は市街化調整区域における土地活用の有効な選択肢になります。

【補足】市街化調整区域の開発許可に関する法令

建築制限を規定する具体的な法令は以下の通りです。

協議と届出を行えば建築可能な建物(許可不要)
  • 農業や林業、漁業など第一次産業にまつわる建築物とこれら業務を営む者の住宅
  • 駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所などの公益上必要な建築物
  • 政府の都市計画事業の一環
都市計画法第二十九条
建築に個別の許可を必要とする建物「都市計画法第三十四条」

建築に個別の許可を必要とする建物
  • 周辺住人の生活に必要な建物
  • 農業、林業若しくは漁業地域産業の一環に必要な建物
  • 鉱物資源、観光資源公益上必要な建物
  • その他、開発審議会を通り都道府県知事によって許可された建物
都市計画法第三十四条

土地活用における市街化調整区域の強み

市街化調整区域で土地活用するメリット

規制の多い区域ですがその規制を逆にメリットとしてとらえることもできます。

  • 税金が安いので高利回りの活用が可能
  • 周りに新しい建造物ができにくいので競合店舗が建たない

固定資産税が安いから高い利回りを期待できる

市街化調整区域は総じて土地評価が低く設定されているもの。
土地評価額の1.4%が課せられる固定資産税が安くなります。

また都市計画に関与しないことから、都市計画税が課税されません。

さいたま市 同じ大きさの土地(400㎡)

 市街化区域市街化調整区域
地価1億円3,000万円
固定資産税140万円/年42万円/年
都市計画税30万円/年0円
合計170万円/年42万円/年

土地活用のランニングコストになる税金が安くなるので、実質利回りが高くなります。

実質利回りとは

(年間収入ー年間コスト)÷初期投資×100で計算される数値のこと。

「投資効率が良いか悪いか」を判断する際の指標になる。

(参考:土地活用における"利回り"との正しい向き合い方【利回りの相場・平均も紹介】

周辺環境が大きく変わる可能性が低い

建築が制限されている地域なので、周りの環境が変わってしまう可能性が低いです。

つまり今後継続して現在の環境が維持されるということ。

競合店舗ができる可能性も薄いので、一度商業施設建築の認可を受ければ収入が長期で安定するというメリットもあります。

市街化調整区域を活かす7つの土地活用

市街化調整区域で実現可能な土地活用方法

上記制約を踏まえて、成功可能な活用方法を見ていきます。

具体的な活用は以下の通り。

大きく分けて建築を伴わない活用or公益施設を建築の2択になります。

【建築を伴わない活用】

  • 資材置き場
  • 墓地/霊園
  • 駐車場
  • 太陽光発電(ソーラーパネル設置)

【公共施設を建築して活用】

  • 社会福祉施設
  • 医療施設
  • 日用品店舗

【最適な方法を選ぶために】7つの土地活用の詳細比較

各方法の収益性、実行の難易度を比較すると以下のようになります。

【市街化調整区域の土地活用比較】

 初期費用収入ランニングコスト利益利回り市町村の許可運用難易度
資材置き場5万円30万円▲20万円
10万円200%不要
墓地5万円35万円▲20万円15万円300%不要
駐車場125万円60万円▲25万円35万円28%不要☆☆
太陽光発電600万円60万円▲20万円40万円6.6%不要☆☆
社会福祉施設1億円900万円▲250万円650万円6.5%不要☆☆☆
医療施設3億円2,800万円▲600万円2,200万円7.3%不要☆☆☆
日用品店舗3.5億円3,800万円▲900万円2,900万円8.3%☆☆☆☆

収益利回り経営難度を考慮したうえで興味のある活用方法を確認してみてください。

①資材置き場

使い道がない土地は建設業者に貸そう

土地をそのまま使いたいなら建設業者に資材置き場として提供する手があります。

資材置き場の特徴

【メリット】

  • 初期費用が安い
    (整備費程度で10万円以下)
  • 手間/ランニングコストがかからない
    (賃貸後の管理は借り手)

【デメリット】

  • 賃料が安い
    (10万円/月以下)
  • 建築による固定資産税や相続税の減税効果がない

初期費用や手間がかからず運営も簡単。

一方で、賃料が少なく少額経営になってしまうデメリットもあります。

何もしないまま土地を眠らせておきたくはないという方にピッタリの方法です。

資材置き場の収益化モデル(さいたま市200㎡の土地)

初期費用(整備・広告費)5万円
賃料30万円/年
固定資産税▲20万円/年
利益10万円/年

②墓地/霊園

墓地・霊園は生涯をかけた土地活用

建築をしない活用法では、専門業者に土地を貸して霊園を整備してもらうという手法もあります。

墓地/霊園の特徴

【メリット】

  • 初期費用がかからない
    (受け渡し前の整備のみ)
  • 手間がかからない
    (専門業者に一任)
  • 立地に無関係
    (頻繁に訪れる場所ではなく交通の便が不要)
  • 固定資産税や登録免許税が不要
    (地方税法348条、登録免許税法第5条)

【デメリット】

  • 長期の賃貸になる
    (賃貸期間は数十年)
  • 転用することはほぼできない
    (墓地からの転用はイメージが悪い)

専門業者に任せれば費用も手間も必要ないのが嬉しいですね。

ただ一度墓地として土地活用をすると他のアパマン経営や駐車場経営などに転用することは非常に困難です。

そのため半永久的に霊園として活用していく覚悟が必要になります。

霊園の収益化モデル(さいたま市200㎡の土地)

初期費用5万円
賃料35万円/年
固定資産税▲20万円/年
利益15万円/年

③月極駐車場

広くて好立地なら駐車場で稼げる

建造物を伴わない青空駐車場なら市街化調整区域でも経営することができます。

月極駐車場の特徴

【メリット】

  • 利回りが良い
    (30%前後)
  • 運営は委託可能
    (数万円/年で管理会社が請負い)
  • 一時的な経営もできる
    (更地に戻して次の用途に回すことが容易)
  • 収益化までが早い
    (最短一ヶ月で経営開始)

【デメリット】

  • 初期費用がある程度かかる
    (舗装工事に100万円程度)
  • 経営の成功が立地に依存
    (利用者が得られないと経営は困難)
  • 建築による固定資産税や相続税の減税効果がない

上手く需要を拾えるかがネックになりますが利回りも良く成功しやすい活用方法です。

適切な立地・大きさ(100㎡~がおすすめ)の土地を持っている場合は積極的に検討してみましょう。

月極駐車場の収益化モデル(さいたま市200㎡の土地)

初期費用(整備費)125万
収入60万円/年
ランニングコスト▲25万円/年
利益35万円/年
実質利回り28%

立地が良く経営に成功すればさらに高収入(~120万円/年)も可能です。

試算以上の高利回りを挙げるかは経営者の腕次第ですね。

関連記事上記収支の詳しい計算は、こちらのページをご覧ください。
【高利回り】駐車場経営はどのくらい儲かる?収入や初期費用、経費をまとめて解説
駐車場経営のメリット・デメリットは下記のページで詳しく解説しています。
【駐車場経営による土地活用】7つのメリットに対してデメリットは2つだけ!

④野立て太陽光発電(ソーラー経営)

建物の建設を伴わないで行える活用として太陽光発電もおすすめです。

野立て太陽光発電の特徴

【メリット】

  • 初期費用が安い
    (10㎡あたり設置費用約30万円)
  • ランニングコストが安い
    (1ヶ月あたり5,000円)
  • 収入が安定する
    (国による買い取り保証あり/日本では一年を通して日射量安定)

【デメリット】

  • 実質利回りが低い
    (平均して6%~7%)
  • 自営しなかった場合のランニングコストは高い
    (収入の4分の1程度)
  • 建築による固定資産税や相続税の減税効果がない

資金や運営コストが比較的安く収入が安定しやすい活用方法です。

一方で、収入が少ない分利回りは悪くなってしまうのがデメリット。

ただ太陽の光さえ確保できれば経営できるので、長期的に見て安定した収入を得たい場合にはベストな方法です。

野立て太陽光発電の収益化モデル(さいたま市200㎡の土地)

初期費用(設置費)600万円
収入60万円/年
ランニングコスト▲20万円/年
利益40万円/年
実質利回り6.6%
関連記事野立て太陽光発電については、下記のページで詳しく解説しています。
【野立て太陽光発電(ソーラー経営)】土地活用におけるメリット・デメリットを徹底解説!

⑤福祉施設(介護施設・保育園)

経営に強いパートナーと組めれば大チャンス

福祉施設を建築して土地活用をする場合は自治体の開発許可を受ける必要があります。

福祉施設の特徴

【前提条件】
政府から認可を受けた社会福祉法人との共同経営となる

【メリット】

  • 安定した高利回り
    (顧客単価が高く6%~10%の高利回り/信頼もある社会福祉法人のおかげで経営は安定)
  • 手間が最小限
    (運営は社会福祉法人)
  • 都市化が起こらず好環境
    (長期にわたって空気がきれいなまま)
  • 建築によって固定資産税や相続税の減税効果を受けられる
    (税が40%以上免除)

【デメリット】

  • 初期投資が大きい
    (共同出資のため建築額のおよそ半分を負担)
  • 収益は折半
    (社会福祉法人と収益を折半)
  • 共同経営に応じてくれる社会福祉法人を探すことが必要

経営に長けた社会福祉法人と共同経営が出来れば安定して高利回りを達成できます。

一方で共同経営に応じてくれる社会福祉法人を見つけるまでが難儀でしょう。

保育園が足りず高齢化も進む今、福祉施設は立地さえ間違えなければ安定して需要が拾える良い投資先です。

福祉施設の収益化モデル(さいたま市800㎡の土地)

初期費用(建築費共同出資)1億円
収入900万円/年
固定資産税▲250万円/年
利益650万円/年
実質利回り6.5%

⑥医療施設

土地活用として医療施設を選べる条件

医療施設を建築して土地活用する場合も自治体の開発許可を受ける必要があります。

医療施設の特徴

【前提条件】
周囲に医療施設がなく必要と認められる場合

開業したい医師や医療法人に対し土地を貸し出す

【メリット】

  • 安定した高利回り
    (賃料収入なので安定して6%~10%の高利回り/移転しにくく契約が長期化)
  • 手間がかからない
    (運営は医師/医療法人)
  • 都市化が起こらず好環境
    (長期にわたって空気がきれいなまま)
  • 建築による固定資産税や相続税の減税効果を受けられる
    (税が40%以上免除)

【デメリット】

  • 初期投資が大きい
    (施設の設営は土地主)
  • 次期契約者が見つかりにくい
    (契約解消後の転用が困難)

一度契約に結び付けば長期・安定収入が見込めます。

半面、他の用途での次期契約者が見つかりづらい建築にはなります。

それでも数千万円〜数億円の出資で10%程度の利回りが期待できる優良な投資と言えるでしょう。

医療施設の収益化モデル(さいたま市800㎡の土地)

初期費用(建築費)3.5億円
賃料2,800万円/年
固定資産税▲600万円/年
利益2,200万円/年
実質利回り7.3%

⑦日用品店舗

スーパーやコンビニがない地域は大チャンス

居住者の日常生活に不可欠な物品を扱う店舗は市町村の許可をもらって建築することが出来ます。

日用品店舗の特徴

【前提条件】
周辺に代替施設がない場合に設営が有益と判断されれば出店を許可される

当該自治体役所の許可をもらって設営可能

【メリット】

  • 安定した高利回り
    (周辺住民の安定需要があり6%~10%の高利回り)
  • 経営の手間は最小限
    (運営は外部企業に委託)
  • 競合店舗が出来づらい
    (必需品店舗は最小限しか建築が認められない)
  • 建築による固定資産税や相続税の減税効果を受けられる

【デメリット】

  • 初期投資が大きい
    (施設の設営は土地主)
  • 建築許可が下りるか不明
    (公益施設とはいえ認可が必要)

活用が難しく思えた市街化調整区域でも高利回りの商業施設の許可が下りる可能性はあります。

需要と許可が見込まれる場合は当該市町村に相談してみてください。

日用品店舗の収益化モデル(さいたま市800㎡の土地)

今回はコンビニよりも規模の大きいスーパーの建設を想定します。

初期費用(建築費)3億円
収入3,800万円/年
ランニングコスト▲900万円/年
利益2,900万円/年
実質利回り8.3%

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(関連:HOME4U土地活用の評判の真相!強み6つと注意点2つを土地活用プランナーが説く

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この記事では、建築に規制がある市街化調整区域でも実現可能性がある土地活用方法を紹介してきました。

  1. 資材置場
  2. 墓地/霊園
  3. 月極駐車場
  4. 野立て太陽光発電(ソーラー経営)
  5. 福祉施設(介護施設・保育園)
  6. 医療施設
  7. 店舗経営(日用品店舗など)

ただ上記7つの活用方法はほんの一例にしかすぎません。

また立地条件や周辺環境によって、有効な活用方法は千差万別。

立地条件によっては「野立て太陽光発電なら成功の可能性は高いけど、月極駐車場経営は難しい…」ということも起こりえます。

もしこのページを読んで、

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またどうしても有効活用が難しい場合は売却という形で収益化するのもアリ。

土地を手放すことにはなりますが、いつまでも使えない土地を所有して税金を払い続けるよりは有意義だといえます。

 

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